ポートレートコラム
Tokyo Otaku Mode Inc.
COO & Co-Founder
安宅基
Photo/Write : Tetsuya Hara
唐突だが、安宅基は私のヒーローである。私は彼がCOOであるTokyo Otaku Modeでフォトグラファーとして働かせてもらっている。このインタビュー取材も「何かを成し遂げるまでは(取材を)受けないようにしている」と語る彼に懇願して実現したものだ。五年前、私はある出来事がきっかけで、大雨が降り雷が鳴り響く日、暗い部屋で独り横たわっていた。これは比喩でもなんでもなく実際に暗闇の中にいた。何もかもを諦めてしまおうとしたその時、部屋の隅でiPhoneが光り輝いた。「フォトグラファーを探しています。一緒に働いてくれませんか?」声の主は安宅だった。一秒早くても一秒遅くても何かが違ってくるそんなタイミングでの電話だった。「よろしくお願いします」私は即答した。当時の彼は金髪で全身から鋭利なオーラを放った孤高の存在であった。電脳的な思考から生まれるビジョンは常に明確であり、それを実現すべく奮闘していた。あれから月日は流れ、彼は信頼できる仲間たちを得た。当時に比べると目が優しくなり、物腰も柔らかくなった。彼と話をしているととても安心する。しかし私は知っている…。彼の鋭利な才気は失われていない。能ある鷹が爪を隠すがごとく「何かを成し遂げるまで」爪を隠し厳然として磨いているのだ…。私のヒーローはこれから先、どんな世界を見せてくれるのだろう。安宅基と、そして彼が先導するTokyo Otaku Modeの今後が楽しみで仕方がない。