ポートレートコラム
株式会社スイミー(swimmy inc.)CEO
臼田聖司
Photo/Write : Tetsuya Hara
フォトセッション中も気負うことなく飄々と立ち振る舞う彼の名前は臼田聖司。“聖司”いえば名作青春アニメ「耳をすませば」の”天沢聖司”を私は思い出す。主人公である雫の心を奪い、ヴァイオリン職人になるために中学卒業後にイタリアへ修行に出る才色兼備な美少年だ。甘いマスクで強い自信と意思を持ち、高校から海外に留学するところなんかは臼田聖司まさに天沢聖司だ。彼は「失敗しても大丈夫なんだな、そんなに悪いことじゃないんだな」と子供の頃に悟ったと語る。 20代前半の頃、4階から落ちて左足が粉々になり「もう一生走れないかもしれない」とまで言われた大怪我をしたときも生きているだけよかったと考え、わずか1週間ほどででポジティブになれたらしい。何故、彼は失敗をしても大丈夫なのだと思えたのだろう?私はフォトセッションの間、それについて考えていた。そしてこの写真を撮ったときにファインダー越しに見る彼の目がレンズの奥…いやその先を見ていることに気がついた。余談であるがファンタジスタの象徴的選手だと言われるサッカー元イタリア代表、ロベルト・バッジョがエースとして挑んだ1994年W杯アメリカ大会。決勝戦のPK戦で最終キッカーのバッジョが、ゴール左上にはるか高く打ち上げてしまい優勝を逃したとき「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」と名言を残した。そう、臼田聖司はクールに装いながらメラメラと青い炎を内に燃やし続け、勇気を持って挑戦し続けてきたからこそ失敗を受け入れることができるのだ。目の前の大きな坂を全力で登り続けることができる人は常に青春の中にいるのだ…。