ポートレートコラム
マーケティングコンサルタンツ株式会社
代表取締役
加藤将太
Photo/Write : Tetsuya Hara
彼は突として紙とペンを取り出し図を描き始めた。その図は立方体になっていて経営者を 性格別に6タイプに分け、行動パターンや思考も6つに分かれることを表したものだという。彼の話によると図に表したような考え方は彼の知る限り類をみないそうだ。私は身振り手振り動かし話される彼の話に引き込まれながらワクワクした気持ちになった。そう彼の話はまるで「冒険小説」のようだ。 彼はとても優秀な人物だ。私からしてみたら違う星に住む異星人である。その素晴らしい経歴をみるだけで頭がクラクラするようだ。順風満帆にみえる彼だが、どこかしらナイーブな少年ぽさを感じる。そのナイーブさが彼の力の源となり自然と幼い頃から自分自身と向き合うようになったかもしれない。そのせいか現実的で理にかなっている彼の話しは、少年が空想したかのような趣がある。そして彼は空想してきたことをすべて叶えてきた。彼の話を聞いているとこの世の中のことが全て簡単なことに思えるが、当然そんなことない。「人はやれば出来る」という信念を元に試行錯誤し努力をしてきた結果だ。そしてフォトシューティングの時間だ。ファインダー越しに覗くと彼は居心地が悪そうに椅子に座っていた。私が2,3指示を出すと彼は意を決するようにレンズを見据えた。その視線は常に未来だけをみてきた冒険心溢れた眼差しだった。余談であるが、私はカメラのレンズを彼のオフィスに忘れてしまった。彼からの電話で気づき、彼のオフィスに戻った。エレベーターが開くと彼が大事そうにレンズを両手で抱えそこにいた。私の顔をみるとニコッと微笑んだ。彼の笑顔はやっぱり少年のようだった。