「凡人 」 <特にすぐれた点もない人。普通の人。また、つまらない人のこと>
彼は言う「僕の能力値は高くない…謂わば凡人です。天才に努力されたら絶対に敵わない…人の二倍、三倍と努力する。それしかないです…」三月生まれの影響なのか彼は幼少の頃、周囲に比べ、肉体的にも知能的にも成長が遅かった。何事にも負けることが多く、コンプレックスを持ち続けた。小学生の頃は大きな夢などはなく、大好きなテニスでさえ全く努力しなかった。中学生になると自己主張が強くなり、あくまでも自分が主役であり、周りは引き立て役だと考えていた。そんな彼は周りから慕われることなく、それどころか疎ましく思われていた。大学受験。彼は志望校に落ちた…学生でも社会人でもなく、何者でもない一年間を過ごした。一浪の末、入学した大学ではサークル活動中心だった。そして彼はまだ小さな規模の会社に入社し、社会人となった。仕事を通して彼は変化しはじめた。幾度となく失敗をしその度に打ちひしがられた。しかし彼は諦めなかった。常に前を向き、努力とともに這い上がった。彼がいた世界とは別の人たちと関わるうちに感銘を受け、自分本位な考え方から目の前の人が喜ぶことを第一に考えるようになった。それからはぶつかり合いが減り、仕事がうまく回るようになった。彼は変化を繰り返しながら成長していたった。そんな彼を天が放っておくはずはない。まるで天から贈り物を受け取るかのごとく自分が起こすべき会社の社名を思いついたのである。その瞬間、彼は覚悟を決め起業した。「関わった人みんなが幸せになり、たとえ自分が死んだとしても300年以上、続いてくような会社にしたい」と彼は堂々と言った。はたして彼は自身が言うように凡人なのだろうか…?フォトシューティング中、私は彼に聞いた。「もしもの話ですが、挫折してどん底に落ちているときの昔の自分に今の自分が声をかけることができるとしたらどんな声をかけますか?」彼は小さな声で言った。「やるしかないんじゃない?」