フォトグラファーのピックアップコラム
DSSR Co.
クリエイティブディレクター

本間英俊

私は10代のころ雑誌を読むのが大好きだった。インターネットもない時代に岐阜県の田舎街に住んでいた私にとって流行りの情報は雑誌からしか得る術がなかった。様々な雑誌がある中、私が特に好きなのがファッション誌であり、貪るように読んでいた雑誌でモデルとして本間英俊は様々な服をフッショナブルに身に纏っていた。私にとって同い年である本間英俊は雲の上のような存在であり憧れであった。その彼が私の目の前にいる。タイムマシーンに乗って10代の私に「お前は25年後、その雑誌に出ている本間英俊の写真を撮ったり、ご飯を一緒に食べに行くことになるんだぞ」なんて話したらどんな顔をするのだろう。きっと、つまらない冗談だと思われそうだ。そう考えると人生とは予想のつかないものであり、なんて美しいものなんだろうと私は思う。インタビューでは10代の私が憧れていたモデル、本間英俊のその後が語られていた。その半生はまるでジェットコースターに乗っているようにドラマチックなものであった。それはある星の元に生まれた者ではないと展開しないような類のものだ。「今ではどんどん大変なことが起きてほしい。それだけ成長できるから。」様々な体験を通して彼はハプニングが起きれば、それを新たな力にする術を身につけたようだ。まるで私や彼の世代が読んで育った漫画の主人公だ。「あの時は死ぬほど大変でしたよ」と笑顔で語る彼の横顔を写真に収めた。午後の光が優しく輝き、私たちはありったけの美しさに包まれた。

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