フォトグラファーのピックアップコラム
株式会社Coupe
代表取締役/CEO
竹村恵美
今回のコラムは彼女へのラブレターになるかもしれない。私はシャッターを切るたびに彼女に恋をした。それはデートのような本当に楽しい撮影でいつまでも彼女を撮っていたいと思った。最後のシャッターを切る頃には日も落ち、キラキラと輝く原宿の街も薄暗くなりつつあった。私は10月だというのにぐっしょりと汗をかいていた…。最近は男性を撮影する機会が多くなりつつあったので、私は久しぶりに女の子を撮影した。そう。彼女は“女の子”なのである。レンズを向けると少し困ったような表情をした。写真に撮られるのがそんなには得意ではないようだ。その表情はとてもチャーミングで私をどぎまぎさせた。徐々にレンズを向けられることにも慣れ、次第に笑顔が増えた。本当に楽しそうに笑う彼女を見ていると自然とこちらも笑顔になり心が跳ねてくる。勘がいい彼女はこちらの意図を瞬時に察知し一番見せてほしい彼女をみせてくれる。私は夢中でシャッターを押した。余談ではあるが、撮影中、インタビュアーの渡辺さんに「原さんはこんな風な撮り方もするんですね。初めてみました」と言われた。やはりいつもよりもテンションが上がってたのだろう。少しだけ冷静になり恥ずかしくなった。私はタピオカミルクティ買い、彼女に渡した。美味しそうに飲む彼女は起業家にはまるで見えない。案の定、モデルの撮影だと勘違いした何人かが振り返った。私たちは大通りに出てモデルハントの“メッカ”とも言われる、表参道の表参道駅と原宿駅の中間くらいの場所にいた。先ほどまでは絶え間なく動きながらの撮影だったが、静止した状態で私と彼女は向き合った。先ほどまでコロコロと表情を変えていた彼女はレンズを見据えた。瞳は透明で力強く、唇はギュッと結んでいる。彼女のその表情をみていると私の腕に鳥肌が立ち、なぜか泣きそうになった。そして出来ることなら彼女を両手で抱きしめたくなった。私は抱きしめる代わりに静かにシャッターを切った。キラキラと輝くこの街にかすかに冬のにおいがした。背中に流れる汗が冷え少し肌寒かった…
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