ポートレートコラム
Truss / トラス CEO & Founder
久保田 修司
Photo/Write : Tetsuya Hara
「建築業界に革命を起こす」私はインタビューをカメラを構えながら隣で聞いていて、それを彼が成し遂げる事を確信した。彼はそれを目標ではなく、自身の使命としていた。インタビューも終盤に差し掛かり、そんな彼の口から耳を疑うような話しが聞こえた。「子どもの頃から自分に自信がありませんでした。とにかく自信を持ちたい一心で、頑張ってきた。起業をしたからといって、すごい人間だということではありません」彼は鼻を触った。インタビューが無事に終わり、私と彼のフォトセッションが始まった。私は開口一番「本当に自信がないのですか?」と尋ねた。ファインダーからみる彼は起業家というよりは高名な教授のようだった。鼻を触りながら「そうですね。自信ないですよ。」彼は考えや思いを巡らせるとき、鼻を触る癖があるようだ。彼はどんな事を考えながら、その高く立派な鼻を触ったのだろうか?私はレンズの中に自信のなかった若者だった頃の自分をイメージしてもらった。なんと情趣溢れた表情だろう。積み重ねた経験や努力があってこそできる表情だ。余談だが彼の生まれ故郷は私の生まれ故郷の隣町だ。歳も近い、もしかするとどこかですれ違ったかもしれない。そして私も自信のない若者だった。ファインダー越しにみた、彼の眼差しに私は強く勇気づけられた。私はシャッターを切った。「カシャ」遠い田舎町でもこのシャッター音が聞こえたはずだ。メインカットを撮るために彼に立ってもらった。背が高く足が長い。とてもスタイルがよかった。彼に仕事以外で好きなこと、楽しみはなにか尋ねた。彼は嬉しそうに「美味しいものを食べることですね」と答えた。「このオフィスの周りは美味しいご飯屋さんが多く、最近太ってしまいましたよ。」彼は屈託のない笑顔をみせた。自信のなかった若者は自分の人生をかけられる仕事と出会った。彼は高くそびえ立つ建築物を建てるようにひとつひとつ積み上げながらその使命を必ず全うすることだろう。