ファインダーの奥にいる男は現在の自分自身に対して苛立ちを感じている。はたから見たら「どん底」の生活にみえるような状況に陥っても「まあ、仕方ないよね」と目の前のやるべきことを淡々と進め、幾度となく再起してきた彼だが今、やるべきことを見失っている。私とのフォトシューティング中、彼は常になにかを話していた。淡々と優しい口調ではあるが、どこか、黙ってしまう事を…本心が漏れてしまう事を恐れているようだった。
私は彼に「一番、辛かった時の自分がカメラレンズの中にいるとイメージしてください。」と指示をした。彼は少し困っていたが、イメージが固まったようだ。彼は真っ直ぐにカメラのレンズをみた。楽しそうな表情をした。そしてニヤリと笑った。多くの人はこの指示をすると強張った表情をするか、悲しそうな表情をするが、彼は違った。笑ったのだ。彼は『¥マネーの虎』という番組に出演し“冷徹な虎”との異名をとってそうだ。私はその番組を観た事はないが、敢えて言いたい。「虎よ。冷徹ではなく、もっと熱くなれ!」続けて、私は彼に3年後の自分自身をカメラのレンズの中にいるとイメージしてもらった。3年後の彼をみて現在の彼は言う。「そこそこしか成功してないね。」3年後の彼は現在の彼をみて言う。「今、頑張れば、お前はもっと成功する」このフォトシューティングが始まってすぐに私は彼に「どんな人になりたいですか?」と質問した。彼は「周りの人に役に立つ人」と答えた。私にはわかる。それは嘘だ。彼はお金や車、時計のような所謂、成功の象徴のようなものに対して欲がないと言う。だが、彼は”生き抜く事”に対しては、強欲だ。燃えたぎるように生きていないと彼は満足しない。老け込むには早すぎる。輝きを取り戻すのだ。彼は今“冷徹な虎”から”猛虎”として生まれ変わる時なのだ。南原さん。より一層のご活躍を私は心からお祈りしています。