「ルールがないことがルール」- グローバルパートナーズ株式会社 山本康二が語る、常識を覆す経営と未来への挑戦

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氏名 山本康二
肩書 グローバルパートナーズ株式会社 代表取締役社長
出生 1971年
略歴 尾崎豊に感化され、学歴社会と年功序列に違和感を感じた学生時代。同じ信念を抱く光通信に入社後、数々の事業で国内トップシェアを獲得し、日本最年少最短で上場した光通信の取締役に28歳で就任。1万人の営業組織を構築し、100万社の顧客から獲得売上は累計1兆円を超えた。さらに、投資した100社以上のベンチャー企業がIPOをし、これまで680名以上の経営者を輩出。複数の上場会社の代表やアリババの日本事業の立ち上げを経て、現在はグローバルパートナーズの代表を務めている。日本一若者を信じる会社の代表として、日本一給料の高い会社を目指し、若者向け教育事業、ベンチャー企業支援、グローバル人材事業などに力を入れている。

常識を疑い、独自の道を切り拓く – 15歳にして「世の中のルールの大半が間違っている」と確信したグローバルパートナーズ株式会社の山本社長。

社員全員が社長という意識を共有し、人事や給与制度、新規事業の会社名、オフィス所在地、価格設定といった重要事項まで、全て社員に一任するという常識に囚われない革新的な経営スタイルは、異端とも評されます。その独自のビジョンに共感し、将来は事業家として成功することを志す若者が集う、今注目の企業の一つです。

本稿では、山本社長の型破りな経営手腕にフォーカス。組織に眠る可能性を呼び覚ます、その哲学と未来へのメッセージを紐解きます。

常識を疑い、本能を信じる経営哲学

—【聞き手:岡崎美玖、以下:岡崎】 御社の経営スタイルは類を見ないなと思っていまして。従来の「こうあるべき」という固定観念を覆すような、自由な発想が原動力になっていると感じます。

—【話し手:山本康二氏、以下:山本】 私が類を見ないのではなくて、世の中の人が変わってしまったのだと思います。

—【岡崎】 と、言いますと?

—【山本】 ポリティカルコレクトネスやキャンセルカルチャー、ハラスメントや、個人情報保護法など…昔は金八先生が生徒に「バカ野郎!」と言ってたわけですよ。それが今じゃ大問題ですよね。

—【岡崎】 確かに、時代の変化を感じます。SNSでの発言一つでも、瞬く間に炎上してしまうような時代ですよね。

—【山本】 そのまま生きているだけで、世の中が変わっていくのを遠目に見て、なぜそんな息苦しい方向にみんなで歩んでしまうのかと。アメリカでは公園とか道の名前がどんどん変わっていく。 例えば過去の偉人の名前が付いていた道も、どこかに人種差別っぽい話や、性差別のような一言があると、そこだけ拡大して「悪魔だ!」と。

結果的に「サウスウエストパーク」とかに名称が落ち着いてしまうのをみると、人間、成功者はそんなにいないのにと、過去の功績も全て否定してしまうような、息苦しい社会に疑問を感じます。

—【岡崎】 そういった変化に対応せず、「変わらない」ことによって、周りからのプレッシャーや批判を受けることなどはあったのでしょうか?

—【山本】 変えないことに理由はないんですよね。誰にも言われたことないです。例えば「女子社員に可愛いって言うとダメ」とかありますけど、私は可愛いって言って訴えられたことないですもん(笑)。気づかないうちに勝手に先回りして、どこかでビビってしまうのではないかと思います。

—【岡崎】 確かにそうですね…褒め言葉として受け取る方もいらっしゃいますもんね。そういった山本さんの思いを理解して、共感した上で入社される方も多いのではないでしょうか。「変わらないからこその良さ」は、自身の中で感じる部分はありますか?

—【山本】人類は3万年ぐらいの歴史で私は“標準”にあると思っているのですが、みんな本音が言えないんだと思います。全部一回フィルターを通して大人っぽい嘘を言ってしまう。その憂さ晴らしで、匿名で掲示板やSNSで本音を言って発散しているんだと思うんですよね。かわいそうだと思います。それでは何も変わらないし、生産性も上がらないですよね。

—【岡崎】 本音を隠して建前で生きるのは、ストレスが溜まりますよね。「言いたいことを言える」雰囲気作りは、意識的に行っているのでしょうか?

—【山本】 いいえ、何もしていません。自分のスタイルのままで令和に来ても変わらないっていうだけですね。 本質的な部分や、人として大切にするべきことは変わらないし、変えていないです。表面的な流行や、誰かが作ったルールに縛られる必要はないと思っています。

採用基準は「可能性」のみ。異端の人材活用術

—【岡崎】 御社の採用では性別、学歴、国籍にとらわれない採用手法をとられているかと思いますが、どのような意図があるのでしょうか?

—【山本】 いわゆる一般的な採用基準はないんですよ。特に光通信時代は入りたい人は全員採用していました。「入りたいです、どうぞ。はい、いいよ。じゃあ手続きだね」って(笑)。 人が人を採用すること自体が、失礼だと思うんですよね。

—【岡崎】採用担当者の主観で判断されることを避けたい、ということですか?

—【山本】それもありますけど、もっと根本的な話です。 人間なんて、色んな可能性があるんだから、誰かを「評価」するなんて、おこがましいと思ってしまうんですよね。

—【岡崎】入社したいという意欲が大事だと。

—【山本】そうですね。採用ではなく「アサイン」という考えです。 縄文時代や猿山に面接などはないですよね?動物的に「この将軍に仕えたい」といったような、本能的にあるべき姿として集まってくると思っています。 新卒で入った光通信でも、誰が役員とか社長ではなく、その上に掲げてるビジョンがあり、年齢や学歴、性別関係なく誰でもチャンスがあるという当たり前のことを考えたときに、ビジョンや旗印にみんなが集まってくるような感じだったんです。

だからこそ、採用面接の時に学歴を聞くのも私は違うと思うんですよね。

—【岡崎】 履歴書に書かれた情報だけで、その人の全てが分かるわけではない、ということですね。

—【山本】 そう。履歴書なんて、過去の事しか書いてないじゃないですか。未来の可能性はどこにあるんだ!って思っちゃうんですよね。

—【岡崎】 それは以前からでしょうか?履歴書を全く見たことがないのでしょうか?

—【山本】見たことないです(笑)。この前弊社の役員と蕎麦食べていた時に、ふと「大学の時何やってたの?」って聞くと「行ってないです。高校も行ってなくて、中卒です」って返ってきて、知らなかった!となったことがありました。役員なのに(笑)

—【岡崎】 それはすごいですね。学歴よりも、その人の能力や人間性を重視している、ということですね。

—【山本】社員の給料制度も、各々に決めてもらっています。 なので2〜3年目で1000万を超えるプレイヤーも多数いて、全社員がそれぞれの給料を知っています。 でもこれがあるべき姿だと思っているんですよね。でもまだまだこういうバイアスが社会にいっぱいあるなと感じています。 ちなみに社内ルールも私が決めたものは一切ないです。大人のルールが嫌いだっていう自分が、社員にルールを与えたら矛盾してるよね、と(笑)。ルールがないことがルールです。

独自の社員教育「無人島シミュレーション」

—【岡崎】 社員の方には、会社を通じてどんなメッセージを伝えているのでしょうか?

—【山本】 「思った通りやれ」と話してます。普通の会社ではあれこれ言うと思いますが、自分で考えさせることに重きを置いています。 弊社では入社すると社員全員、「もし無人島にいたら?」というテーマで“山本塾”と名付けた無人島シミュレーションゲームの授業があるんです。

—【岡崎】かなり斬新な発想ですね。

—【山本】 オンライン上で俺が村長でファシリテーションを行い、大体5時間ぐらいやります。「これから全員一文無しで無人島行きましょう」からスタートして、「じゃあまず何をやる?」と聞くと、「水を汲みに行きます」と返ってくるので、「何で汲むの?」と聞いてみると「バケツ」って答えるので、「バケツなんてないから!」と、そんなやりとりから始まって(笑)。 一応衣服などはお金で物々交換できるように用意しているんですが、次第に「僕は海で魚を取ります」っていう人が出てきたり、いろいろ事業ができ始めるんですよね。

夜、市場で物々交換すると、もう私がファシリテーションをやってるもんだから厳しくて全然売れない人もでてきて、我が家は水も塩も手に入らない、この村では食べられなければ死しかない、と極限状況に陥った時に「石で当てよう、木の枝で突こう」と考える。 隣の漁師が釣り竿を開発する。釣り竿の部品を山に住んでいる人と交渉して作り上げる。その後、網を開発する。沖に行きたいからいかだを開発する…そのうち効率化を考えて養殖場まで考える人も出てくるんです。

—【岡崎】 養殖場まで…!無人島でのサバイバルから、ビジネスの基礎まで学べる、まさにゼロからイチを生み出すためのシミュレーションですね。

—【山本】 1年、2年のシミュレーションで、孫正義さんのような大金持ちになっている人も出てくるんです。実際に終わった後に感想を社員に聞いてみたら、「世の中の人よりも汗をかく、知恵を使う、誰もやっていないことをやる、その繰り返しの毎日でした」となるわけです。

ゼロから今ある世の中にあるルールや仕組みや社会構造や役割分担を考えるゲームとなっていて、そもそもお金とは?仕事とは?儲けるとは?売上とは?ということが全部言語化されるのが狙いです。 終わった後は、みんな目がキラキラしていて。「自分にもできるんだ」って自信を持つみたいです(笑)

—【岡崎】 知識を詰め込むだけではなく、本質を理解するという座学だけでは得られない、生きた学びがあるんですね。

指導はしない、挑戦させる。自主性を育む育成術

—【岡崎】 社員の方々への指導方針はありますか?

—【山本】 社員から「こういうことをやりたい」と相談されたら、基本「いいよ、やってみよう」と返事をしています。どんどんやらせる。説明のためのプレゼンも要らないよって言って見ないです。私の意見を聞いたらつまらないじゃないですか。

—【岡崎】リスクを考えて、細かく指示を出しそうですが、信用しているからこそでしょうか。

—【山本】 失敗したら、その時考えればいい。最初から完璧な人間なんていないんだから、と思っています。 自分の頭で考えて自分で決めたことなら、責任感も生まれるし、成長も早いんですよね。

—【岡崎】 失敗を恐れずに挑戦できる環境が、社員の成長を後押ししているんですね。

幼少期の原体験と、ルールを疑う精神

—【山本】 今、社会では、いい大学に行っていい会社に入れば勝ち組というけれど、私は“牢屋”だと思ったんですよね。

—【岡崎】 牢屋、ですか。

—【山本】 例えば飛べるニワトリと言われているニワトリの祖先で飛翔能力を持つ野鳥(セキショクヤケイ)で生まれたのに、養鶏場に入れられて飛翔能力が衰えたような感覚でしょうか。

エアコン付きで三食自動でポッと出てきて、右に5cm動くと壁、左も上も下も5cmしか隙間ない中で一生過ごすと考えたとき、安定であることに間違いはないし、外敵は来なければご飯も食べられる。檻の中で生きている方が楽だけど、外にはもっと面白い世界が広がってるのに、と強く思ったんです。

—【岡崎】 そのように考えるようになったきっかけはありますか?

—【山本】 高校生の頃にテストで全部0点を出したことがあって。

偏差値70いくつの高校だったので、おそらくそのままいれば、いわゆる有名企業に入って…という道が見えていましたが、それがもう牢屋に入るぐらい辛いことだなと感じたんです。

—【岡崎】 周囲からは反対されませんでしたか?

—【山本】 親や先生、みんなに心配されました。「何考えてるんだ」って(笑)。 でも、自分の気持ちに嘘をつくことはできなかったですね。今思うとこの頃から、精神が独立していたんだと思います。

光通信での経験と独立

—【岡崎】 光通信に入社されたきっかけは何だったのでしょうか?

—【山本】 当時「経営者募集」と募集要項に書いてあるのを見て応募しました。 入社式で「お前ら今日から社長な」って言われたのが強く印象に残っています。

—【岡崎】 当時28歳で常務取締役まで昇進されて、スピードもとても速く感じますが、どのようなマインドで仕事をされていたのでしょうか?

—【山本】 一度も自分のことをサラリーマンだと思ったことがないです。 自分のことを経営者だと思って仕事をしていました。

例えば社内で上司から「これを売りたい」と言われたら、パッケージ、値段、さらには会社名も変えていいか?と確認して、自分で集客を考えて…自分で全部やる精神で動いていましたね。

しかも当時は入社日に売り上げを求められて成果がでないと実質クビのような環境、新卒の80%が辞めたような環境下でしたが、私は入社前からインターンとして動いていたんです。 内定をもらったその日から、進んで先輩と一緒に働いていたからこそ、初日から売り上げもだしていましたね。

—【岡崎】 それはすごいですね。当時から独自のスタイルを切り開いていったのですね。

KEYPERSONの素顔に迫る20問

Q1. 出身地は?

埼玉県所沢市です。

Q2. 趣味は?

最近は若い世代の人と飲んでいる時が一番楽しいです(笑)。

Q3. 特技は?

特にないですね。ピアノも麻雀もゴルフもします。

Q4. カラオケの十八番は?

営業マンなので、海外の歌でもAKBでもロックでも演歌でも全部歌えます。

Q5. よく見るYouTubeは?

ビジネス系を中心にめちゃくちゃ見ます。1日7.2時間ほど見ます。

Q6. 座右の銘は?

依存したくないのでありません。

Q7.幸せを感じる瞬間は?

若者が成長している姿を見たときですね。

Q8. 今の仕事以外を選ぶとしたら?

15歳でテストを0点にした日から、誰にも縛られず自由に生きています。

Q9. 好きな漫画は?

今は読みませんが、昔読んでいたのは三国志やキングダムです。 国の統治、勢力争いなどが描かれている歴史ものが好きです。

Q10. 好きなミュージシャンは?

特定のミュージシャンはいないです。色々聞きます。

Q11. 一番会いたい人は?

全員をリスペクトしています。

Q12. どんな人と仕事をしたいですか?

ポジティブな人、挑戦する人です。

Q13. 社会人になって一番心に残っている言葉は?

光通信入社当時に言われた重田康光社長からの「今日から君は社長だ」という言葉です。

Q14. 休日の過ごし方は?

社長という立場柄縛られず、自分の好きなことばかりしているので毎日が休日です。

Q15. 日本以外で好きな国は?

全部好きです。

Q16. 仕事で一番燃える瞬間は?

常に燃えています。やりたいことしかしていません。

Q17.息抜き方法は?

自由なので常にオフだと思っています。

Q18. よく使うアプリやサービスは?

動画配信サービスはほぼ課金していますが、その中でも一番使うのは「YouTube」です。

Q19. 学んでいることや学んでみたいことは?

教科書作りです。

Q20. 最後に一言

「人間はこうあるべきとか、こうしなきゃいけないっていうことはない。 自分で考え、自分で描き、自分で決め、自分で行動せよ!」

若者へのメッセージ“依存するな、自分で考えろ”

—【岡崎】 山本さんは若者世代の挑戦を応援する「ワカモノ応援事業」にも力を入れるなど、若い世代への熱い思いも感じます。

—【山本】 とにかく自分が死ぬときには、私より若い世代の人たちが、私よりも正しくいい国や社会を作っているのを確認して、踏みつけられて死にたいなと思っているんです。「もう邪魔だよ!頑固じじい!」って言われながら(笑)。

若い世代には、とにかく自分で考えること、依存せずに自分で考えて、自分で描き、自分で決め、自分で行動することを大事にしてほしいなと思います。

—【岡崎】 若手含む社会人全般で「本を読む時間がない」という方も多いですが、山本さんはどのようにインプットされているのでしょうか?

—【山本】 20代のときは2万冊くらい読んだと思います。今も書店に行くと気になった本を20冊くらい一気に買っちゃいますが、365日×24時間、寝ている時間、会社にいる時間を除いて計算すると、一日10.5時間も仕事してない時間があるんですよ。10.5時間、全人類にあるのに本を読む時間がないとか言ってる人をみると、言い訳だなと感じてしまいます。

苦痛じゃない本の読み方は『表紙と目次を見る』こと。3分間で40%くらいは入るはずなので、それで中身が大体わかると思うんです。

—【岡崎】 確かに、最初から全てを読もうとすると、ハードルが高く感じますね。

—【山本】 インプットの方法は、本だけではないと思います。YouTubeでも良いし、人と話すのでも良いですよね。色んな方法で、自分の世界を広げて欲しいなと思います。

次なる挑戦は思考力を育む「教科書作り」

—【岡崎】 今後挑戦したいことはありますか?

—【山本】 教科書作りをしたいなと思っています。

—【岡崎】 新しい教科書ですか? どのような教科書をイメージされていますか?

—【山本】 いきなり「自分で考えろ」みたいな本です(笑)。どんな歴史だったのか学ぶ前に想像しろ、どうやって現代に至ったかを妄想して、想像しなさい!と。 暗記だけの教育から脱却して、創造性を育むような、知識の詰め込みではなくて思考力を鍛えるための教科書を作りたいです。

あとは子供たちが、ワクワクしながら学べるような教科書にしたいですね。 歴史上の人物になりきって、その時代の状況を体験できるような、そんな教科書を作りたいです。

—【岡崎】 それは面白そうですね!実現が楽しみです。


【クレジット】
取材・構成・ライティング/岡崎美玖 撮影/原哲也 企画/大芝義信

Company
企業 グローバルパートナーズ株式会社 Global Partners, Inc.
所在 〒171-0014 東京都豊島区池袋2-40-13 池袋デュープレックスビズ6階
業種 若者のビジネス戦闘力を高める 「ワカモノ応援事業」/ GPU、山本塾
次の時代をリードする経営者を支援する 「ベンチャー支援事業」/ サブスク出版、採用強化(人材紹介、SAMURAI CEO)
世界を取り込み、日本を成長させる 「グローバル事業」/ グローバルビジネス、グローバル人材
挑戦者をつなぎ、世界の流れを変える 「メディア事業」/ プラットフォーム運営、各種メディア出演
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