「西山ダディダディ」ダンスでTikTokバズから六本木No.1へ!話題のバー「GIFT Roppongi」代表 西山翔が目指す次なるステージとは
Interviewee
六本木会員制バー「GIFT Roppongi」代表
西山翔(西山ダディダディ)
東京都府中市出身。新卒で大手上場企業に入社後、広告代理店に転職しその後リクルートに入社。28歳でバー業界に入り、独自のエンターテインメントスタイルを確立。2023年10月に六本木「GIFT Roppongi」オープン。「西山ダディダディ」の名で特徴的なダンスパフォーマンスがTikTokで世界的にバイラルヒットし、現在SNSの総フォロワー数は30万人を超える。
夜の世界に新風を吹き込む、六本木の会員制バー「GIFT Roppongi」の経営者、西山翔氏。TikTokで自身のダンス動画が世界的なバズを起こし、今やその名は世界に轟き始めています。
※「西山ダディダディ」ダンスは六本木のバー「GIFT Roppongi」のオーナーである西山翔氏の持ちネタで、お客さんがお酒を奢ってくれた際の喜びを表現するダンスとしてTikTokで非常に人気があり、PPAP以来の大きなバズとなり、NBA選手にまで届いている。
大手企業から夜の世界へ転身し、数々の逆境を乗り越えてきた西山氏の原動力とは一体何か?
本稿では、西山氏の挑戦の軌跡に迫ります。

バズは必然だった? 6年間の伏線と偶然が生んだ、世界を揺るがすダンス革命
—【聞き手:岡崎美玖、以下:岡崎】まず、西山さんの名前を一躍有名にしたTikTokでのバズについてお伺いしたいのですが、あのダンス動画はどのようにして生まれたのでしょうか?
—【話し手:西山翔氏、以下:西山】実は、TikTokでバズったダンス動画は、6年ほど前から続けていたものなんです。もともとはお店の営業中に、お客様を盛り上げるために始めたパフォーマンスでした。
—【岡崎】なんと、6年前からですか!当初は意図的にバズを狙ったのか、それとも偶然だったのか、そのあたりはいかがだったのでしょうか。
—【西山】実は正直に言うと、TikTokでバズらせようとかそういう意図は全くなかったんです。お店のリアルな雰囲気を伝えたいという思いで、日々の営業風景を動画でアップしていました。
なので最初は、ダンス動画ではなく、お客様にドリンクを勧めるコールや、テーブルゲームの様子などをアップしていました。
—【岡崎】なるほど。SNSの運用自体もお店のPRや宣伝目的だったんですね。
—【西山】そうですね。編集もせずに、ただ撮った動画をそのままアップしていました。それが意外と伸びて、「これは面白いぞ」と、色々な動画をアップするようになったんです。
—【岡崎】それが6年越しに世界的なバズを生んだ、と…!
—【西山】そうなんです(笑)。TikTokでバズったダンスは「西山ダディダディ」という、僕の名前を前面に出したコールに合わせて踊るというものでした。これも、元々は2020年頃にTikTokで流行っていた「竹内ダディダディ」を参考に、アレンジしたものなんです。
最初は、業界内の一部でちょっと話題になる程度だったんですが、今年に入ってから海外のTikTokerの方々が真似してくださるようになり、一気に火がつきました。
弊社では年末年始休暇を頂いているのですが、年始に家でゆっくりしていたら急に携帯の通知が鳴り止まなくて(笑)。一体何が起きたんだろうと思ったらTikTokでアメリカやアフリカなどダンスカルチャーが盛んな地域を中心に急にバズり始めました。そこから国内にも一気にバズり始めたような感じです。
—【岡崎】海外からのバズとなると、バズりはじめた当初はどのような状況だったのでしょうか。
—【西山】国内のバズとはスピードが全く違いました。フォロワー数も、1日に1万人ずつ増えていくような状況でしたね。動画の視聴割合も、当初は海外が8割ほどでしたが、徐々に国内の視聴者も増えてきています。また、バズをきっかけに海外からのお客様が増えました。
—【岡崎】6年間も続けてきたことが、世界的なバズに繋がるとは…!まさに継続は力なり、ですね。
—【西山】そうですね。あと、運も大きかったと思います。TikTokというプラットフォームの特性や、海外のダンスカルチャーとの親和性など、様々な要因が重なって、今回のバズにつながったのだと思います。

エリート街道を捨て、バー業界へ。大手企業サラリーマンからの華麗なる転身
—【岡崎】TikTokでのバズをきっかけに、西山さんのことを知った方も多いと思いますが、実は、西山さんは大手企業でサラリーマンをされていた時期もあるんですよね。
—【西山】はい。親を安心させるために、いわゆる「ちゃんとした会社」に入ろうと思って、大学卒業後はタイムズ24という会社に新卒で入社し、営業職として3年半ほど勤務しました。その後大学時代の友人が立ち上げた広告系の会社に転職し、さらにリクルートへの転職を経て現在に至ります。
—【岡崎】となると、かなり会社員時代も長いのですね!大手から一度ご友人が立ち上げた会社に行くきっかけは何だったのでしょうか。
—【西山】友人が、広告業界で起業することを目標にしていたんです。そして本当に、数年後に独立をしたと連絡を受けてジョインしました。
…でも実際に働いてみると、理想と現実のギャップに苦しみました。僕は、人と会って営業するのが得意でしたが、その会社では、オフィスワークが中心だったんです。
Excelの関数も分からない状態からスタートだったので、必死で勉強しました。ただ、どうしても自分には合わないと感じ、1年ほどで別の道を歩むことにしたんです。
—【岡崎】なるほど。その後、リクルートに転職されたんですね。
—【西山】大手志向が強かったので、もう一度大手企業でチャレンジしたいと思い転職しました。コネは一切使わずに転職をすると決め、それこそ「リクルート」の運営する転職サイトに登録して転職活動をしていたところ、エージェントの担当者に「ちなみに弊社は興味ある…?」とリクルートを紹介して頂き、結果的に内定を頂くことができました。
エリートが集うイメージがあったので、勧められた当時は「自分がリクルートに!?」ととても驚いたのを覚えています(笑)。
—【岡崎】エージェント担当者直々のオファーだったとは!リクルート時代はどんなお仕事をされていらっしゃったのですか?
—【西山】求人広告の営業をしていました。最初は苦労しましたが、徐々に結果を出せるようになり、1年後にはトップセールスになりました。
—【岡崎】そこまで結果も出していて、なぜ再び転職しようと思ったのですか?
—【西山】リクルートでの仕事は、確かにやりがいもありました。ただ、収入面でどうしても満足できなかったんです。もっと稼ぎたい、という気持ちが強くなり、転職を決意しました。
元々、大学時代からバー業界には興味があったんです。そんな中で、リクルートを辞める少し前に、大阪でバーを経営している知人から「一緒にやらないか」と誘われたんです。その誘いに運命的なものも感じて、思い切ってバー業界に飛び込むことにしました。
—【岡崎】憧れもあった大手企業を辞めるという決断は、相当な覚悟が必要だったのではないですか?
—【西山】そうですね。周囲からは反対の声もありましたし、親にも心配をかけました。 28歳で夜の世界に飛び込んだのですが、大学の同期には本当に優秀な友人が多くて。トップ企業に行って、結婚して子供が産まれて家や車を買っていて…サラリーマンとしての理想を叶えている友人が多かったんです。
なので友人からは「あいつ何やってんの?終わったな」と思われていたと思いますし、だからこそ絶対に成功してみせる、という強い反骨精神を持っていました。残り2年しかない20代は自分の本当にやりたいことを追求するために、覚悟を決めましたね。

大阪でバーを新たな観光名所へ!型破りな地域戦略
—【岡崎】夜の世界へ飛び込んだ西山さんは、まず大阪でバーを経営されるわけですが、そこではどのような戦略を立てられたのでしょうか?
—【西山】大阪でバーを経営するにあたって、まず考えたのは”観光地化”するということでした。
大阪といえば、既にグリコやUSJ、通天閣などが有名ですが、「大阪=僕のお店」と言われるような、新たな観光名所を作りたいと思ったんです。
—【岡崎】それは面白い発想ですね…!
—【西山】そこで、SNSを駆使した情報発信や、従業員全員がスーツを着用するという異色の店舗スタイルを取り入れました。
—【岡崎】従業員全員がスーツ着用ですか! まさに今のスタイルに通じているところですよね。当時はかなり珍しい部分もあったのではないでしょうか。
—【西山】そうですね。当時、大阪のミナミにあるバーは、カジュアルな服装の従業員が多かったのですが、あえてスーツを着用することで他店との差別化を図りました。また、お客様に急なお誘いがあった際にも失礼のない格好で対応できるように、という狙いもありましたね。
—【岡崎】なるほど!戦略的な部分も大きかったのですね。
—【西山】おかげさまで、異色のスタイルが話題を呼んだこともあり、約半年ほどで大阪ミナミNo.1のバーになることができました。

KEYPERSONの素顔に迫る20の質問
Q1.出身地は?
東京都の府中市です。
Q2.趣味は?
美味しいものを食べること。特にコスパの良い寿司屋を探すのが好きです。
Q3.特技は?
物心ついた頃から大学までプレーしていたサッカーです。 あとはそうですね…トークとダンスでしょうか(笑)。
Q4.カラオケの十八番は?
ゴスペラーズのミモザです。
Q5.よく見るYouTubeは?
筋トレ系の動画をたまに見るくらいですね。
Q6.座右の銘は?
「損して得取れ」です。
Q7.幸せを感じる瞬間は?
美味しいご飯を食べている時や、家でゆっくりと食事を楽しんでいる時ですね。
Q8.今の仕事以外を選ぶとしたら?
実は昔、子役もやっていたので俳優でしょうか。
Q9.好きな漫画は?
キングダムです。
Q10.好きなミュージシャンは?
EXILEです。青春ですね!
Q11.今一番会いたい人は?
小栗旬さんです。
Q12.どんな人と一緒に仕事をしたいですか?
自分のことよりも、仲間を思いやれる人と一緒に仕事をしたいです。
Q13.社会人になって一番心に残っている言葉は?
「置かれた場所で咲きなさい」という言葉です。
Q14.休日の過ごし方は?
買い物に行ったり、料理をしたりして過ごしています。
Q15.日本以外で好きな国は?
アメリカ。中でもニューヨークです。
Q16.仕事の中で一番燃える瞬間は?
お店が満席になった時ですね!
Q17.息抜き方法は?
携帯の電源を切って寝ることです。
Q18.好きなサービスやアプリは?
TikTokです。頂いたコメントも全部チェックしています。
Q19.学んでいることや学んでみたいことは?
英語です。
Q20.最後に一言
行けるうちに行けるとこまで行きます!

大阪から東京へ…売上は2倍に!六本木進出への挑戦と緻密な戦略
—【岡崎】ミナミでNo.1まで上り詰めた西山さんですが、大阪でのお店を締めてまで、東京・六本木への進出を決めた理由は何だったのでしょうか。
—【西山】ミナミの次は北新地でもお店を立ち上げ、大阪でバーを経営する中で、タイミングとご縁に恵まれて、六本木の現在の場所を紹介して頂いたんです。
東京進出へのハードルを当時はかなり高く設定していて、やってみないと分からないギャンブルのような怖さもありましたが、こんないい場所、いい箱で運営できる機会も中々ないと感じて「よしいこう、やってみよう」と決断しました。
—【岡崎】関西と東京では地域性も異なってくる部分も多いと思います。またバーの軒数も多い六本木での進出にあたっては、何か戦略なども立てられたのでしょうか?
—【西山】六本木は、大阪とは客層も全く違うと感じて、会員制というスタイルを取り入れることで客層の質を高めることに注力しました。
—【岡崎】会員制ですか。それはどのような狙いがあったのでしょうか?
—【西山】会員制にすることで、客層を絞り込み、お店の雰囲気を保つことができました。
また、富裕層のお客様に満足していただけるような、質の高いサービスを提供することにも注力し、どんな方がどんな人を連れてきても恥ずかしくない内装にしているのもこだわりの一つです。
おかげさまで六本木でも多くのお客様にご来店いただき、大阪時代の2倍以上の売上を記録しています。うちはスタッフも強くて、ありがたい限りです。
「120点を狙いに行くな!」当たり前のレベルを上げる人材教育
—【岡崎】「スタッフも強い」と先ほどお話をされていましたが、スタッフへの教育方針などで力を入れている部分はありますでしょうか。
—【西山】スタッフによく「120点、華丸を狙いに行くな」と伝えていますね。
笑いを取りに行くときもそうで「大爆笑を取りに行くな、狙いに行くな」と伝えているんですよね。
それよりも「これをやっておけば損しないな」とか「これ、やっといて何か言われることは、ないよね」ということを日々積み重ねていき、平均点以上のことを重ねてやっていきましょうねっていうのを仕切りによく言っているんです。
—【岡崎】それはご自身の中での何か原体験があったのでしょうか?
—【西山】バー業界に入ったばかりの当時の自分はとにかくプライドが高かったんです。
例えば、お客様にいじられたり、からかわれたりすることに全く対応できませんでした。「自分は、そんなキャラじゃない」と、どこか格好つけていたんですよね。
—【岡崎】プライドが邪魔をした、ということでしょうか。
—【西山】まさにそうなんです。そんな僕を見て、あるお客様からこう言われたんです。
「お前は、気が高くて面白くない。この世界でやっていこうと思っているなら、プライドなんて捨てちまえ。人の心を掴むには、自分をさらけ出すしかないんだ」と。
その言葉が深く突き刺さって、その時ハッと気づいたんです。「格好つけている場合じゃない。お客様を楽しませるためには、なりふり構わずに自分をさらけ出さなければ」と。
それからは、お客様から「何か面白いことやってくれ」と言われたら、迷わずその場で何でもやるようにしました。たとえ、それがスベッたとしても構わない。「やらない」という選択肢が一番ダメだと考えるようにしたんです。
グダグダになったとしても、お客様は笑ってくれるんです。そして「こいつ、面白いやつだな」と思ってくれる。そうやって少しずつお客様との距離を縮めていきました。
—【岡崎】今の西山さんのエンターテイナーとしての原点は、そこにあるんですね。
—【西山】そうですね。実はあの「西山ダディダディ」も、昔お客様にお酒を勧められたときに「もうこれ以上はのめない!どうしよう!」となって、でもやるしかない!と苦し紛れの時間稼ぎの一環で生まれたんです(笑)。それをたまたま従業員が撮影していて、SNSに上げてみようか!となったのが始まりです。
あの時プライドを捨て、お客様を楽しませることに徹したことが、今の僕に繋がっていると思います。

「夜の世界」を変える革命児。次世代に託す夢とメッセージ
—【岡崎】今後の展望についてお聞かせいただけますか?
—【西山】今後は、店舗展開を積極的に行っていきたいと考えています。まずは東京の銀座、そして、国内の主要都市にも進出していきたいです。
—【岡崎】これまでは移転という形で行っていましたが、「GIFT Roppongi」が旗艦店となるイメージでしょうか?
—【西山】そうですね。そう思えるのも、今いるスタッフの存在が大きいんです。社員が10名、アルバイトが4名ほどいるのですが、彼らの能力はお世辞抜きで本当に素晴らしいんです。大小様々なバーがあると思いますが、「GIFT Roppongi」のメンバーは、どの店に行っても一番人気になれるようなポテンシャルを秘めていると思います。
—【岡崎】それは、西山さんのリーダーシップの賜物ですね。
—【西山】いえいえ。僕は、彼らの才能を最大限に引き出すための環境を整えているだけなんです。僕がこうして取材を受けたり、表に出たりする機会が多いのは、彼らの頑張りがあってこそ。もし、彼らがいなければ、僕は何もできないと思っています。
—【岡崎】スタッフへの信頼が厚いのですね…!素敵です。
—【西山】チームプレーが本当に大切だと思います。組織を船に例えるなら、僕は船長として正しい方向へ舵を切らなければならないと思っていますが、彼らがいるからこそ、店舗展開も視野に入れることができました。こんなにも頑張ってくれるメンバーがいるなら、誰かに店を任せることもできると思ったんです。彼らが主役となって、新しい店を盛り上げてくれる。そう確信しています。
—【岡崎】店舗展開で大切にしたいことはありますか?
—【西山】はい。ミッキーマウスに会いたいからディズニーランドに行く、というだけではダメだと思うんです。ディズニーランドには、ミッキーやミニーだけでなく、ドナルドやグーフィーなど、魅力的なキャラクターがたくさんいますよね。僕は「GIFT Roppongi」のスタッフ全員を、ミッキーのような存在にしたいんです。全員が主役になれるような、そんな組織を作っていきたいと思っています。
そして、店舗展開だけでなく、若い世代へのアプローチも強化していきたいと考えています。TikTokでの企画や、スポーツとの連携などを通して、次世代を担う若者たちに、夢を与えられるような存在になりたいと思っています。

—【岡崎】ありがとうございます。最後に、読者の方々へメッセージをお願いします。
—【西山】 夜の世界には、まだネガティブなイメージを持っている方も多いと思いますが、僕は、この世界で働く人たちの可能性を信じています。 僕自身が、この世界で成功することで、夜の世界に対するイメージを変え、多くの人々に夢を与えられるような存在になりたいと思っています。
【クレジット】
取材・構成・ライティング/岡崎美玖 撮影/原哲也 企画/大芝義信
Company
GIFT Roppongi
〒106-0032 東京都港区六本木3丁目10−4 六本木パークビル B1F
飲食業
https://www.tiktok.com/@gift.roppongi
「西山ダディダディ」ダンスでTikTokバズから六本木No.1へ!話題のバー「GIFT Roppongi」代表 西山翔が目指す次なるステージとは