“問題解決の達人” 大芝義信、組織の悩みの多くは「人」の問題。人と人の問題を解決し続けたい。
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氏名 | 大芝義信 |
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肩書 | 株式会社グロースウェル 代表取締役社長 |
略歴 | 1975年生まれ、東京都八王子市出身。(株)グロースウェル代表取締役。楽天、ミクシィ、GREEでキャリア形成。2013年に株式会社AppBank(証券コード:6177)入社。CTOとしてIPOを経験後、2016年に株式会社グロースウェルを創業。スポットCTOとしてプレ要件定義やシステム開発ベンダーの選定および管理。エンジニア組織のマネジメント支援として累計100社以上の実績。組織支援にはEQ(心の知能指数)を導入して累計1,000名超と国内トップクラス。2021年、大月市DXアドバイザー。2022年、一般社団法人日本地方創生DX協議会(JRXA)理事。インタビューメディア『The Keyperson』Owner。著作に『組織の感情を変える』(日本実業出版)、『DX時代のIT導入マニュアル』(BookTrip)、動画出演に『プロが解説EQマネジメント』(NewsPicks)がある。 |
—【紙谷】楽天、ミクシィ、GREEなどの名だたるIT企業でキャリアを積み、MBAを取得。AppBankではCTO(最高技術責任者)を務めながら上場を果たし、2016年に起業された大芝義信さん。現在は、技術顧問、経営アドバイザー、幹部向けコーチングにメディア運営やスタートアップ企業への投資などマルチに活躍されています。なぜ彼はこんなにも幅広いジャンルで、高い実績を上げ続けることができたのでしょうか。今回のインタビューでは、どのようにして大芝義信の思考回路が形成されたのか、その秘密を探ろうと思います。
—【大芝】わかりました。よろしくお願いします。
◆ サラリーマン時代に得たいと思った知識は「プロジェクトマネージメントスキル」と「ピープルマネジメントスキル」
—【紙谷】早速ですが、インタビューをさせていただきます。実は大芝さんはこのインタビューメディア「THE KEYPERSON」の創設者でもあるんですよね。本当に多彩で驚きます。まずは大芝さんの起業までの経歴を教えていただけませんか?
—【大芝】はい。最初はプログラマーとしてキャリアをスタートしたんです。楽天や、ミクシイでは技術的なバックグラウンドを活かし、エンジニア数名の時から企画・開発の推進や海外開発拠点の業務プロセス策定やブリッジなどを担当していました。2007年には国内最大級のソーシャル・ネットワーキングサービス『mixi』の全盛期にエンジニアのリーダーを努めていました。全国から集った選りすぐりの優秀なエンジニアをマネジメントしていく中、ユーザー視点に熱意を傾けていた現場エンジニアの思いを実現させていくためには、様々なステークホルダーと調整が必要であり、そのためには自身の成長が必須だと感じる機会が増えてきたためMBAの取得を考えました。
—【紙谷】技術のことがわかりMBAも取得されているとなれば、どの企業からも欲しがられる人材ですよね。
—【大芝】ありがたいことにたくさんオファーをいただきました。当時転職のヘッドハンターからのスカウトメールが月に20件くらいは来ていましたね。(笑)沢山のオファーを頂く中でこだわった事は、MBAでの学びを知識だけに留めておくのではなく、MBAでの経験を実践に生かさなければ意味がないと考え、事業会社で自分の力を試したいと考えました。さらに言うと事業会社の中でも1つの事業だけをやっている会社よりも、複数の事業を持っている会社のほうが自分の可能性を試せると考えAppBankに入りました。AppBankは日本最大級のiPhoneメディアやゲーム攻略メディア、YouTubeチャンネル、ゲーム攻略やSNSのアプリ、ECサイトをはじめ実店舗も7店ある会社です。そこで、開発部門のマネージメントとしてマザーズ上場を経験しました。IPOに携わったことは大きな強みでして、技術顧問だけではなく上場に関するアドバイザーもできるなって思ったんですよ。
企業内CTOよりスポットCTOに意義を感じる
—【紙谷】そこで今起業されている事業につながるんですね!
—【大芝】はい。私はもともと問題解決が得意なんですよ。例えば「今の政府はダメだ」などと問題提起する人はたくさんいるけれど、問題解決して、実行に落とし込める行動力がある人はなかなかいない。でも僕自身は、問題解決することやそれを実行に移すことがとても好きなんです。そして、企業の中にいるCTO(最高技術責任者)は当然組織の管理職なので、目標を設定したらトラブルなく遂行できるのが理想で、忙しい状態になるのはだめじゃないですか。ある意味、居なくなることをゴールに、そこに向かっていくべきというか。
—【紙谷】たしかにマネージメント層が忙しくしていると、マネージメントが上手く行っていないことになりますね。
—【大芝】でも私は問題解決が得意で好きなんですよ。それならば、企業の中でCTOをするのではなく、企業が困っている部分だけ私の時間を使ってもらったほうがいいと考え、自分の時間を10分割して10社に提供できないかと考えて、スポットCTOの仕事を始めました。現在では契約先が30社を超えています。
—【紙谷】なるほど。今までの経験を活かして社外CTOをされているんですね。
問題解決への意欲は技術分野だけにとどまらない
—【紙谷】技術関連以外にも大芝さんはたくさん事業をされていますよね?
—【大芝】はい。個人的にエンジェル投資家として手伝いもしていますし、この「THE KEYPERSON」などのメディア事業も行っています。また技術の側面だけではなく、経営や組織の問題に対してもアドバイスをしています。
—【紙谷】技術顧問、投資家に加えメディア事業、経営や組織のアドバイスなど…本当にマルチに活躍されていますよね。では一つずつ聞かせていただきます。
—【紙谷】それでは「THE KEYPERSON」などのメディア事業はなぜ始められたのですか?
—【大芝】エンジニア出身なので、払い手の気持ちになれないといけないと思ったのが大きいですね。会社員時代のときに、自宅のエアコンが壊れてしまって技術者が修理に来てくれたんです。その時修理が難航して、昼に来てくれたのに夕方までかかった上に、部品が欠品していて結局直らなかったんですよ。それなのに2万5千円の請求書を渡されまして(苦笑)。 直ってないのにお金を払ったという感覚が経営者に似ているなと。
—【紙谷】そうですね、経営者にとって給料の支払いってそういう感覚ですよね。成果物に対する支払いではないので。
—【大芝】お金を出して作ってもらうのに、成果物がなく、固定給を払うという経験を一度でもすると、経営者の視座が身につくというか。そういう経験を続けることで、経営者への有益なアドバイスにつながると思ったんですよね。私は多くの経営者の方に会う機会があるのですが、経営者の時間の捉え方は3~5年後の長期的なスパンで考えているように感じます。一方、サラリーマンの方は自分もそうでしたが今日や週末をどう過ごす、よくて今月という感覚の方が多いように思います。今月のことを考えているのか、近年を考えているのかでは、人生に違いがはっきり出そうだと。経営者の長期的な目線でのインプットは多くのビジネスマンの気づきや刺激になると考えて、メディア事業やっています。
組織問題の多くは「人間関係」
—【紙谷】それでは経営・組織に対するアドバイスはどのようなことをしているのでしょうか?
—【大芝】組織には問題がたくさんありますが、多くの問題は人間関係だったりします。そして、人間関係を突き詰めると感情のコントロールの問題が出てきます。例えば怒りっぽい人が一人社内にいるだけで、組織に問題が出てきてしまいます。以前、顧問先のある会社の経営者から、CTOが怒りっぽくて困っているという相談を受けました。例えばWEBディレクターの方が反応率の悪いバナー画像を切り替えるためWEBサイトにアップロードして欲しいとお願いしにいくと「依頼はマニュアルに従って手順を踏むように、今日である必要があるのか」などと怒られてしまうそうなのです。そうすると会社の雰囲気も悪くなるし、せっかく急いで進めよう思っていたIT化も進まなくなってしまう。「長期的な視点でそのCTOに辞めてもらい、別の人を入れることも考えられるけれど、出来れば現状の人員で回す方法を考えてもらえませんか」と。そこで、その怒りっぽいCTOに話を聞いたところ、「はいはいとなんでも聞いているのを見て、部下が自分をまねして同じような対応をしてしまったら、社内でも下請け扱いされて、部下が誇らしく働けなくなってしまう可能性があります。彼らを守るつもりで、わざと強めにつき返していた。」との返事。ついつい強めに話していると、くせになり強く当たりすぎていることに本人も悩んでいる状態だったのです。ある種、自分の感情をコントロールできずに困っていて、でも会社のことを思ってやっていたそうです。
—【紙谷】それで解決策はどんなことを考えたのですか?
—【大芝】まずはじめに怒りの感情をコントロールするアンガーマネージメントが有効だと考えました。時代は頭の知能指数であるIQから心の知能指数であるEQへ注目の対象が変わってきています。EQの観点で言うと、人間の行動はその時に置かれている気分や状態によって変わります。その置かれている状態で自己の感情に気づいてそれをコントロールすることが出来れば、適切な言動ができるようになるんです。先ほどの例で言うと、CTOの上司の取るべき行動は丁寧に断ると良かったんです。
—【紙谷】そうは言ってもそのCTOは衝動的に怒ってしまったのかと思うのですが、それを「丁寧に断ること」という行動は取れるのでしょうか?訓練でできるようになるものなのですか?
—【大芝】はい、可能です。怒りには段階があって、激怒つまり頭に血が登ってしまってからでは感情を止めるのは容易ではありません。でも怒りの初期段階であるイライラしているときにそれ以上進まないよう認識し回避する思考が働けば、丁寧に断ることが出来ます。また自己のパターンを認識しておくことで再発防止に役立てます。
人は怒りながら計算できない
—【紙谷】具体的にはどうやって回避するのですか?
—【大芝】怒りについて言うと、怒りながら計算って出来ないんですよ。そのため強制的に思考力を働かせると、怒らなくなるんです。
—【紙谷】え!それはどういうことですか?
—【大芝】電車の中でつかみ合いの喧嘩をしている方がたまにいるじゃないですか。以前そのシチュエーションを目撃したことがあるのですが、まず隣の人の鞄が何度もあたってイライラしていることから、隣の人に「気を付けてください」と注意されていました。注意したら気を付けてくれるかと期待したのに、その若者は音楽を聴きながら、ちらっと横目で見るだけで無視されてしまった。それで怒りが爆発して、「何をこの!」と掴み掛かってしまったという状況でした。 このシチュエーションの場合、激怒してからでは怒りは抑えられないのですが、怒りには段階があって、少しイライラしている段階で、自分がイライラしていることに気づき、隣の車両に移れば怒りは抑えられる。客観的に自分の感情を観察できるようにして、怒りのリテラシーを高めることが出来れば、怒りの発生を減らすことができるんですよ。
—【紙谷】怒り以外の感情でコントロールできる例はありますか?
—【大芝】そうですね、組織で最も多い感情は何かというと不安感情です。変化の多い時代ですから不安になりやすい人は多いと思いますが、不安は恐怖が強いほど沸き起こってきます。 例えば、ライターさんがWEBに掲載する原稿を間違えてどうしようと思ったけれど、もう公開してしまったし黙っておこうと考えてしまったとします。それを誰かに気づかれて指摘されたところへ、プルプルと電話が鳴ると、「怒られるのかもしれない」と電話に出たくなったりしますよね。これも、不安になる前にミスしたタイミングで恐怖を認識して、この起こしてしまったミスによってどんなことが起こってしまうのか、社会的に信頼を失うのか、怒られるのか、表面化・言語化するんですよ。そうすると意外とたいしたことにはならないだろうと考えられるので、先に謝罪するなど対処することができます。恐怖の初期段階で対処すると不安がなくなるんですね。
資産10億円以上稼いだ人の共通点
—【紙谷】それでは経営者にとっての悩みはどの様なものが多いのでしょうか?
—【大芝】経営者の悩みは大きく分けて3つあります。1つ目は売上について、2つ目は組織について、3つ目は急成長の悩みです。中でも組織についての悩みは共通していて、「なんかうまくいっていない感じがする」「わからないけどなんとなく」「求心力がない」など漠然と、なんかうまくいっていない気がするという状態が多いです。そういうときは課題を可視化する。まず、人を変えるのは難しいので、自分を変える必要があります。ある調査で、シリコンバレーで資産額10億円以上のアントレプレナーの共通点は2つあって、1つ目は楽観思考力を持っている、2つ目は失敗を経験と捉える傾向があるそうです。
—【紙谷】「楽観的な思考力」と「失敗を経験と捉える」ですか。それも訓練で伸ばせる考え方なのでしょうか?
—【大芝】はい。失敗についての捉え方は怒られた時に、「もういやだ」と思うのか、「今後詰められないようにはどうすればいいのか」と何が原因か考えられる人が成功しているそうです。 これまでロジカルシンキングやクリティカルシンキングができる人が注目を集めていましたが、近年の優秀層にプラスαで求められるものは、楽観思考・創造思考・共感思考と言われていて、この3つはEQを高めることで得られます。EQのテストを受けることで自分のEQのレベルがわかります。
—【紙谷】EQは昨今、再注目されていますよね?EQのテストで何がわかるのですか?
—【大芝】例えば、香川県にある金毘羅山という長い石段が続く山があります。それを上るときに、「こんなに大変なの~!」と思う人は感情的、「この階段は何段あるのだろう」と考える人が理性的と言えます。テストを受けることで自分の思考の癖がどの位置にいるかが分かります。
—【紙谷】感情的・理性的など、どちらのほうがいいかの基準はありますか?以前、EQテストを受けると、この上司との相性が良いのか悪いのか、この企業はこういう人材がマッチするなどがわかると聞いたことがあります。
—【大芝】はい。どちらに寄っているかが重要です。その企業、職種にとってどういう傾向の人が合うのか、その組織に必要な人材がわかります。
訓練でEQは高められる
—【紙谷】その特性は訓練で、高められるものなのですか?
—【大芝】はい。高められます。たとえば理性を高めるためには4W(what、when、who、where)などを考えてみてください。先ほどの金毘羅山についての例でいうと、どういう石なのだろう、何年前にできたのかなぁ?誰と登れば楽しいかなぁ、こういう場所は他にもあるのかなぁなど。 そうすると、映画を見たときの感想も変わってくるんですよ。最近の映画ではアカデミー賞最多4部門を受賞した「パラサイト 半地下の家族」を見ても、感想に変化が出ます。 「思ったより時間が短く感じられたね」とか、「レイトショーだから空いていたね」など。 EQを構築する項目を知ることで診断します。理性が強い人には感情的に考える人が、感情が強い人には理性的な感想を持つ人が居るのだと知っていることも重要です。
採用してはいけない人材とは
—【紙谷】最近は労働人口が足りないなど、採用難と言われていて、企業は良い人材を取りにくい傾向があるかと思いますが、スキルだけが高くても相性が悪い人を採ってしまうと、会社全体に影響がでる可能性もありますよね。採用の際に採ってはいけないタイプはありますか?
—【大芝】1つの例で言うと理想が高い人は、組織中で活躍しにくい傾向があります。例えば、「このサイトのこの文字をもう少し小さくしたほうがいいと思います」などという方です。
—【紙谷】確かに。既にこの方針で行こうと決まっている仕事について、理想論を言われてしまっても、それでは採算が合わない可能性があることや、全てのステイクホルダーにとって問題はないのかなど考えられていない感じがしますね。
—【大芝】そうなんです。なので、理想が高いタイプの人は、プレイヤーとして一人で動くほうが向いていて、企業に属さないほうがうまくいく場合があります。
—【紙谷】そうですね。ただ、理想が高いとチームワークに影響が出てしまうこともありますが、それはある意味向上心があるという良い意味にも取れますよね?
—【大芝】そういう場合もあるので、面接を行う際の質問内容はよく見定めたほうがいいですね。
—【紙谷】理想が高いタイプ以外にも組織に影響を与える特性はありますか?
—【大芝】理想的かつ保守的な方の場合は、大変です。理想的な思いがあるけれども保守的なので、思っている不満を進言しない場合があります。例えば通常3日かかるだろう仕事を1日でやってと言われたとします。それを出来ませんと上長に伝えるのではなく、「普通3日でやるよねぇ」と周りに陰口をいってしまう。そうすると会社全体の雰囲気まで壊してしまう可能性があります。あとはEQ的な観点で生産性の低い人は取ってはいけないですね。日程調整のやりとりなどメッセージの交換で仕事ができるかどうかがわかります。メッセージってワンターンで返してほしですよね。『この日はどうですか?』という質問に『この日はだめです。』と言われてしまうとまた提案しなければいけなくなる。そういう配慮ができるかでも生産性が高いかどうかを計れますね。
—【紙谷】生産性が低いことはEQで判断できるんですか?
—【大芝】「内発的モチベーション」という項目でわかります。いわゆる、自分でなんとかしようとしない人です。人に助言をしてもらわないと出来なかったり、指示を待ったりするタイプの人ですね。例をあげると夏の宿題を、親に怒られないとギリギリまでしない子供って、自分がやらなければいけないことだと自覚していないのです。むしろお母さんのタスクだと思っていたりします。 解決策としては、何故宿題をやらなきゃければいけないのかを考えさせることですね。例えば漢字の書き取りだとしたら、 親「なぜ感じの書き取りをしなければいけないのか?」 子「忘れないため。」 親「ならばどうしたら忘れないと思う?」 子「繰り返しやる」 親「どうやったら繰り返せる?」 子「宿題をする時間を何回かにわける。」 それならば、7月中にここまでやらないといけないということがわかるようになります。 本質的な目的まで、本人に考えさせれば、翌年からやるようになります。
売上最大化のカギはEQにあり?
—【紙谷】EQを採用やマネージメントに活かせることがよくわかりました!それはすごい!うちでも取り入れたいという経営者が殺到していませんか?
—【大芝】はい。経営者の方からはとても喜ばれ、経営者が受けてみると次は役員、次は社員とたくさんのご紹介をいただきこの2年間で500名以上の方からご依頼がありました。 EQで課題を解決されたい場合、EQテストを受けていただき、それを元にアセスメントという資格取得者保有者がフィードバックを行います。そのフィードバック数においても、私は日本で3番目の実績を持っています。経営者のEQを高めると全体の売上も10%程度は上がるのではないかと思っています。ある企業でEQを使って組織構築をしたところ、社員数8名から60名に大きく伸びることが出来ました。
—【紙谷】それは興味深いですね。EQの威力に驚きましたが、ビジネスの知見がある大芝さんからのアドバイスであることも大きい気がしました。価格帯はお聞きしましたが、会社の売上が10%上がる可能性があるなら、とってもお手頃な値段ですよね。フィードバックというのは、指標の解説だけではなく、その経営者がどのような課題を抱えているのか現状も見てもらいながらアドバイスしてもらえるのですか?
—【大芝】はい。そうです。
—【紙谷】それはお得すぎますね!!こんなに多彩な大芝さんにフィードバックしていただけるなんてすごい!興奮してしまいました!
常に高い壁を設定し超えていく
—【紙谷】大芝氏は幅広い分野に精通されているというか、様々なジャンルで高い成果をあげていますよね。どのようなモチベーションでお仕事をされているのでしょうか?
—【大芝】例えば、車の3つの機能は「走る」「曲がる」「止まる」だと思います。その車の中でベンツなどがいい車と言われるように、仕事において大切な3つは、「話す」「聞く」「考える」だと思います。この基本の3つを伸ばす事で複雑な問題解決に立ち向かえると思い仕事をしています。私は話すことはもともと得意なので、聞く経験を多く積みたいと思い、この「THE KEYPERSON」というメディアをやっています。また考え方については、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングさらにクリエイティブシンキングなどを鍛えていると既存能力が高まると思っています。それらを高めながら、タスクをその日中にこなすようにしています。今、聞いたら今日中に。やりたい・やりたくないは関係ない。どうしてみ気分が向かない場合は細やかな策を練ります。マラソンを走ろうと思うとき私はスパッツを履くのですが、そのスパッツは硬くて履くのがとても面倒なんです。でも履いてしまえば、走らないともったいないから走ります。つまりその感情を上手に利用するのです。
—【紙谷】そういう感じでタスクを細分化して、まずは取り掛かるというスタイルなのですね。 以前、「まず取り掛かることだ。取りかかれば、仕事の半分は終わったようなものだ」という古代ローマの詩人の言葉を聞きましたが、まさにそれですね。
—【大芝】はい。おっしゃる通りで本もちゃんと読もうすると大変。一気に読もうとせず、まず読み始める。読み始めていると気分が乗って読み進められます。
5年先の自分に対してのギフトだと思って
—【紙谷】本当にストイックですね。必ず成し遂げるという意思を感じます。大芝さんの原動力はなんですか?
—【大芝】私は経営者なので、収入を得る手段は2種類あるのですが、日々頂いている技術支援やアドバイスなどの売上は、3か月前の自分が作ったものなんですよ。営業して提案して通ったものの結果です。それも大切にしながら、5年先につながる仕事は何かと考えて、メディア事業や投資など中長期的な目線を大切にしています。
ヒトとヒトの問題解決をしていきたい
—【紙谷】今後はどのような展望を抱いていらっしゃいますか?
—【大芝】そうですね。多くのクライアントの悩みを聞いていると、やっぱりみなさん「人」のことで悩んでいるんですよね。売上の問題も、組織の問題も、急成長の問題も。すべて「人」の問題であることが多いのです。私がサラリーマン時代に、とても仕事に集中できて充足感を覚えるときと、なんかいやだなっていう時があって、その違いについて考えたことがあるんです。
—【紙谷】違いはなんでしたか?
—【大芝】急成長企業で働いていた時のことなのですが、組織が小さかったときは、少人数で最大限の成果を出すためにそれぞれが一生懸命やっていて、業務時間外にもこんなプランはどうかと意見が活発に出ていて、「みんなでよいものを作ろう!」というよい雰囲気がありました。しかし会社が大きくなるにつれて「このディレクターは使えない」「このプロジェクトは誰がやるか」など、みんなの意識が本来の仕事ではなく「人」のことに向く職場になっていったんです。そうすると、雑音が入ってしまって仕事に集中できないというか。パフォーマンスが落ちる感覚がありました。
—【紙谷】私も心配事があると気になってしまい、仕事のクオリティに影響がでないか不安になることがあります。そして、みんなが同じ目標に向かって、一心不乱にがんばっているときの一体感というか充足感は半端ないですよね。私もそういう経験をしたことがあるのでわかります!200%くらいの力を出せるというか。
—【大芝】はい。他人に興味関心が向きすぎるより、他人は他人、自分が何をするのか。そこに意識を向けると充実感が得られますよね。そういう個々のメンバーが、雑念なく仕事を頑張れるような組織が作れたら本当に強いんです。物が売れないと言われる時代だからこそ、まわりに振り回されずに本来の力を発揮して活躍してほしい。だから私は、人の能力を最大限引き延ばせるような、そんな組織づくりの問題を解決し続けたいと思っています。私のベースはIT。そして問題解決力、MBAでのサイエンス的アプローチ、EQこれらを使って成し遂げていきたいです。
—【紙谷】今日は貴重なお話ありがとうございました。
—【大芝】こちらこそありがとうございました。
企業 | 株式会社グロースウェル |
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