“水王子”がSNSマーケティングに新たな風を巻き起こす。シリアルアントレプレナー青木康時の超戦記
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氏名 | 青木康時 |
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肩書 | 株式会社サムライパートナーズ 取締役 |
略歴 | 大学卒業後、事業会社4社のベンチャー企業の創業と2度のIPOに携わる経験を持つシリアルアントレプレナー。ウォーターサーバー事業「Frecious」や世界180ヶ国に販路を持つハイブランド専門のオンラインリセール「RECLO」などを創業した事業戦略家。 |
関連動画を含めた総再生回数が5,000万回を超えるなど、大ヒットコンテンツとして話題を呼んでいる新感覚の起業リアリティーショー「Nontitle」。プロデュースを務めるのは、ウォーターサーバービジネス業界で“水王子”として名を馳せた青木康時氏だ。
同氏は携帯販売の会社立ち上げからキャリアをスタートさせ、ウォーターサーバービジネス業界、ECサービスなどの異業界に挑戦し、その全てで実績を残している稀有なビジネスパーソンでもある。本稿では、青木氏がさまざまな業界に挑戦し続けられる強さの秘密に迫った。
聞き分けの良い子どもだった?意外な学生時代
—【聞き手:松嶋、以下:松嶋】はじめに自己紹介をお願いいたします。
—【話し手:青木康時氏、以下:青木】サムライパートナーズの取締役をしている青木と申します。サムライパートナーズでは、YoutubeのプロモーションやSNSマーケティングを手がけているほか、リッチコンテンツといわれるテレビ番組のようなコンテンツ制作に注力していて、起業家育成リアリティーショー「Nontitle」のプロデュースもしています。
—【松嶋】青木さんといえば、“日本のウォーターサーバービジネス業界の先駆者として水王子”と呼ばれていたことがあり、シリアルアントレプレナーとしても知られていますよね。SNS領域という異業界にジョインされたきっかけはなんだったのでしょうか。
—【青木】新しいことに挑戦したいなと思ったんです。
経緯を簡単にお話しすると、ウォーターサーバービジネスに携わったあと、いくつか事業を立ち上げていて、計4社起業しています。そのなかでもハイブランド専門の委託販売&買取サービス「RECLO」は多くの方にご利用いただくサービスに成長し、投資家の方から「資金は出すから別のECを立ち上げてほしい」といったお話をいただくことが増えました。
ただ、個人的には「同じ領域で事業を立ち上げるとして、それは自分のためになるのだろうか」と迷っていた部分があって。
—【松嶋】投資家の方からすると実績のある青木さんに頼みたいと思うのが自然の流れだと思いますが、それが青木さん個人の成長につながるとは限りませんものね。
—【青木】ええ。それで自分の視野を広げるためにも別の領域に挑戦したいなと思っていたときに、サムライパートナーズの代表である入江さんと出会ったんです。
事業の話を聞いてSNS領域に興味を持ちましたし、過去にインフルエンサーの方々とコラボした経験から彼らの影響力のすごさは知っていたので、その領域に関わってみたいと思いました。
SNSマーケティングは、どのビジネスとも関連があり、かつみんなの悩みの種でもあります。SNSマーケティングのスキルを身につけることができたら、自分自身も一段上にいけるのではないかと思い、サムライパートナーズにジョインしました。
—【松嶋】なるほど。新しいことに貪欲に挑戦するという気質は、まさに起業家向きなのだろうと思いました。
—【青木】でも、昔はそんなタイプではなかったんですよ。勉強は好きでしたし頑張っていましたけど、目立つほどのものでもなく。大学も地元の学校でしたし、そんなに野心があるタイプではありませんでした。性格的にも、クラスの人気者というポジションではあったと思うのですが、別にやんちゃでもなく聞き分けの良い子どもでしたね。
—【松嶋】学生時代は起業することも考えていなかった?
—【青木】親が経営者だったので、いつか起業したいなとは思っていました。大学も経営学部でしたし、経営だけじゃなくて、不動産鑑定士の勉強もしていましたね。ただ、何をやるかは決まっていなくて「いつか起業したいな」とぼんやりと考えているような学生でした。
過酷な生活で培ったブランディングを活かし起業
—【松嶋】今のような積極的なタイプになったのには、何かきっかけがあるのでしょうか。
—【青木】自分の中では、芸能活動がきっかけなのではないかと思います。大学3年生のときに知り合いから誘われて、アーティスト兼俳優として事務所に所属しながら活動していたんです。
芸能生活はとても大変で……。バイトが禁止だったので1000万円以上の借金を背負いましたし、栄養失調で救急車で運ばれるなんてこともありました。
—【松嶋】かなり過酷な生活を送られていたのですね……。
—【青木】いま思い返してみても、人生で一番過酷な時期でしたね(苦笑)。ただ、学ぶことも多かったんですよ。もともと前に出るタイプではなかったのですが、半ば強制的に人前で自分のことをアピールしないといけなくなって。セルフブランディングを徹底的に叩き込まれて、「ここまでやらないと人には伝わらないんだ」と、脳天をかち割られたような感覚でしたね。
とても苦しい日々でしたが、仕事でどんなことがあっても「あの日々よりマシだな」と思えるので、精神力が鍛えられたなと思います(笑)。それに、トップの方達のプロフェッショナリズムを20代前半で見ることができたのは良い経験でしたし、4年ほどの芸能生活で多くのことを学びました。
—【松嶋】芸能生活を終えたあとは何をされていたのですか。
—【青木】起業しました。25歳になって「いつまでも売れないまま芸能界に居座るよりも、経営に挑戦したい」と思うようになり、友人と一緒に携帯電話の販売を始めたんです。
—【松嶋】そこから起業家人生がスタートすると。
—【青木】ええ。借金を返すために気合と根性で頑張って、携帯販売の事業はなんとか軌道に乗せることができました。当時は知恵がなかったので、携帯電話以外にも売れるものを見つけて販売するというフロー型ビジネスを続けていて、売り上げは順調に伸び続けていましたね。ただ、数年経ったときに「このビジネスだけでは限界がある」と気がついて。ストック型のビジネスに切り替えるために、事業アイデアを探していました。
それでいろんなところにアンテナを張り巡らしていたら、現在ロッテホールディングスの社長である玉塚さんがウォーターダイレクトを立ち上げてウォーターサーバービジネスを始める、という記事が目に留まったんです。「なんだこれ?」と思って記事を読んでみると、ウォーターサーバーというのが海外では流行っているらしいと。
それで調べてみると、当時は法人向けのサービスしかなかったんですよ。そこで、ウォーターサーバービジネスをコンシューマー向けにリモデルしたら、ビジネスとして成立するのではないかと思いつきました。
—【松嶋】携帯電話の販売経験を通してコンシューマー向けビジネスのノウハウをお持ちですし、それを活かせると思われたわけですね。
—【青木】はい。販売担当のスタッフに携帯電話ではなく紙コップを持ってもらって、toCのウォーターサーバービジネスを始めたところ、これが大ヒットしました。
水王子として名を馳せたあと、別業界に飛び込む
—【松嶋】2008年には玉塚さんが立ち上げたウォーターダイレクトで営業部長も務められていますね。
—【青木】業績を評価いただいて、ウォーターダイレクトからお声がけていただいたことをきっかけに、出向転籍のような形で働くことになったんです。それまで営業しかしていなかったので、メーカー側の仕事に興味がありましたし、より高い視座で経営の勉強ができる機会をいただけて嬉しかったですね。ウォーターダイレクトでは、上場手前までのフェーズに関わらせていただいて、いろいろなことを学びました。
—【松嶋】そのあと、独立されたのはいつ頃ですか?
—【青木】2010年です。投資家の方からお声がけいただいたことをきっかけにファインスプリングス(現、富士山の銘水)を立ち上げ、2年間でグループ年商40億円に到達しました。
—【松嶋】それはすごいですね!そこまで大きく成長させることができた理由が気になります。
—【青木】ウォーターサーバービジネスは、ブランディングがとても重要なんです。日本は水道水を飲めますし、コンビニや薬局でもリーズナブルなものが売られていますよね。基本的に無味無臭であるため、味で違いを出すのも難しい。そうなると、差別化をするためには付加価値を積み上げてブランディングに注力するしかありません。ファインスプリングスが大きく成長できたのは、ブランディングが上手くマーケットにフィットしたからだと思います。
—【松嶋】なるほど。その次には2012年にアクティブソナー(現、RECLO inc.)を立ち上げられていますが、これはウォーターサーバービジネスとは関係のない会社なんですよね。
—【青木】はい。アクティブソナーではインターネット事業を行っていました。もともとファインスプリングスを立ち上げたときに、投資家さんに「どこかのタイミングでインターネットビジネスに挑戦したい」というのは伝えていたんです。
—【松嶋】新しい領域に挑戦したいと思われていたんですね。
—【青木】ええ。実は、当時の僕はウォーターサーバービジネスしか知らないことに対して、少しコンプレックスを感じていて。勢いのあったインターネットビジネスに挑戦したいとずっと考えていたので、ファインスプリングスを大きくすることができたタイミングで別の業界に飛び込んだという形ですね。
—【松嶋】アクティブソナーの事業内容についても教えてください。
—【青木】ECサイトの立ち上げ、運用をしていました。ファインスプリングスを辞める前に投資家やVCの方々に次の挑戦に関する相談をしたところ「リアルマーケティングに強みがあるのだから、ECが良いのでは」とアドバイスをもらったんです。そう言われて自分でも納得感があったので、ECビジネスをするために資金を調達してアクティブソナーを立ち上げました。
失敗と成功を経験し、また新たなステージへ
—【松嶋】どのようなECサイトを運営されていたのですか?
—【青木】最初はキュレーションECのような形で、キュレーターを主体にフランスのワインやパン、カニなど、さまざまなものを販売していました。でも、それはものの見事に失敗して3ヶ月ぐらいでお金がなくなってしまって。
そのほかにも大手企業と提携したECサイトを運営していたのですが、失敗に終わりました。20問でお答えした「とあるビジネスに失敗して、従業員をその週のうちに8割解雇することになった」というのは、この辺りの話です。
—【松嶋】苦労されていた時期もあるのですね。
—【青木】当時はとても落ち込みましたね。各方面に迷惑をかける結果となってしまい「自分は経営者に向いていないのではないか」と落ち込みました。
—【松嶋】そこからどのようにして立ち直られたのですか。
—【青木】落ち込んでばかりはいられないので、なんとか自分を奮い立たせてビジネスアイデアを考えました。そこで考えついたのがCtoBtoCです。当時はメルカリなどCtoCサービスの勢いがすごかったのですが、「ブランド品の偽物が横行する」といった問題がありましたよね。そういった問題の解決策として、個人間取引の間に企業が入って鑑定するアイデアを思いつき、「RECLO」がスタートしました
—【松嶋】「RECLO」はどのようなサービスだったのでしょうか。
—【青木】ハイブランド専門の委託販売&買取サービスです。一つのサービスのなかで、物を集める/販売するという二つのことをする必要があったので、最初はなかなか苦戦しました。ただ、海外展開もしていたので、インバウンド需要が高まった段階でサービスが大きくはねたんです。日本人が鑑定/チェックしている商品ということで、中国の方に受けたんですね。
そこから海外売上比率が50%以上になるなど、サービスは順調に成長しました。一方で、海外取引が増えたことによるトラブルも増えてしまって、海外の会社に騙されそうになったこともあって。Exitを考えたときに「M&Aをした方がいいだろう」と判断して、国内の企業に事業譲渡しました。
—【松嶋】事業譲渡されたのは、いつ頃の話なのですか。
—【青木】2020年ですね。そのあと、入江さんと出会い、サムライパートナーズにジョインすることになりました。
リスクがある場所を選んだ理由は“没頭できるかどうか”
—【松嶋】「起業しないの?」と、周りからは驚かれたのではないですか
—【青木】言われましたね。ただ、立場に固執しているわけではないので、起業するかどうかは自分のなかで大きな問題ではないんです。バイトリーダーであろうと役員だろうとオーナー社長であろうと、やるべきことをやるだけですから。
重要視していたのは「自分が没頭、没入できるかどうか」という点で、サムライパートナーズはその点を満たしていたし、今後何年かの人生をかけても良いなと思いました。
ほかにも金額的にいい条件のオファーをいただいていましたが「一番リスクがあるかもしれないけれど自分が没入できそうな場所」を選んだだけです。
—【松嶋】異なる業界にジョインしたことで、何か気がついたことがあればお話いただきたいです。
—【青木】ユーザーの声を聞く重要性を改めて感じましたね。ECサイトを運営していると、プロダクトアウトになりがちで、「この商品をいかに社会に広めるか」といった視点が強くなってしまいます。SNSのお仕事を通して、ユーザーの声をしっかり聞いて、そのなかでブランディングすることの重要性を再認識できました。
また自分自身のスキルも大きく伸びたなと実感しています。例えば、インフルエンサーとコスメやアパレルのブランドをつくる、プロデュースをするとなったときには、マーケットの声からインサイトを掘り当てていく必要がありますよね。そういった作業を繰り返すことで、ブランディングやプロデュース力、マーケットの反応に対する予知能力が向上したように思います。
—【松嶋】もともと持っている部分を伸ばしつつ、新たなスキル、視点を身につけられたのですね。
—【青木】はい。SNSは、良くも悪くも多大な影響力を持っているものです。何気なく投稿した画像やテキストが、誰かの琴線に触れてフォローしてもらえることもあるし、炎上につながってしまうこともある。SNSを主軸とした仕事をするなら、マーケットの反応を常に予期していないといけません。そこはとても鍛えられましたね。
—【松嶋】SNSは仕事を得る有効なツールでもありますが、仕事を失ってしまう場合もありますものね。
—【青木】ヒカルくんや朝倉未来くんをはじめとするトップインフルエンサーを見ていると、彼らは自分の発言が及ぼす影響力、相手がどのように反応するかという感覚がとても鋭いんですよ。僕たちはその感覚を“当て感”と呼んでいて、トップインフルエンサーはみんなそのスキルを身につけています。
何も考えずにノリでやっているように見せていますが、フォロワーやマーケットのことを常に考えている。彼らを見ていると、本当に天才なんだなと思わされます。
—【松嶋】天才というと、青木さんはさまざまな業界で活躍されてきて、それぞれ短期間で成果を出されていますよね。第三者からすると青木さんも天才に見えるのですが、ご自身ではどう思われますか。
—【青木】ありがとうございます。でも、ウォーターサーバービジネスもECビジネスも、根本的な部分はSNSマーケティングと同じだと思うんです。フォロワーに対してサービスやコンテンツを提供して改善を繰り返すというサイクルは、ウォーターサーバービジネスやECビジネスでPDCAを回しているのと同じで、手法や使う武器が違うだけ。つまり、僕が天才というよりも、顧客目線さえ持ち続けていれば異業界であってもスキルを活かせるということなのではないでしょうか。
KEYPERSONの素顔に迫る20問
Q1. 好きな漫画は?
普段はあまり漫画を読まないのですが、『キングダム』にはハマっています
Q2. 人情派? 理論派?
理論派だと思います。人情も大切ですが、ビジネスをする上で感情に左右されるのはあまり良いことではないかなと。
Q3. パン派ですか? ライス派ですか?
ライス派ですね。パンというか小麦製品は食べないようにしています。
Q4. 都会と田舎のどちらが好きですか?
都会。旅行で田舎に行って自然に触れていると心が癒されるのですが、都会の利便性が好きなんです。
Q5. 保守的? 革新的?
革新的ですかね。毎回人生オールインだと思って、全チップをかけて挑戦を続けています。
Q6. 好きなミュージシャンは?
Mr.Childrenとか。もともと歌手だったこともあり、J-POPに限らず洋楽も聴きます。
Q7. これまでに仕事でやらかした一番の失敗は何ですか?
とあるビジネスに失敗して、従業員をその週のうちに8割解雇しなければいけないという事態に陥ったことですね。従業員を巻き込む結果になってしまい、今でも後悔しています。
Q8. 犬派? 猫派?
犬です。犬の方が愛情を感じられる気がします。
Q9. 現実派? 夢見がち?
現実派かもしれません。出発時点では夢ですが、実現可能性を重視していますし、最後は現実で行動するしかないですから。
Q10. 今、一番会いたい人は?
いろんな人の思想や考えをインプットしたいとは思っているのですが、特定の誰かに憧れているから会いたい、というのはありません。
Q11. 仕事道具でこだわっているのは?
道具というと語弊があるかもしれませんが、自分自身ですね。
Q12. どんな人と一緒に仕事したいですか?
嘘をつかない人。僕は嘘をつかないので、相手にも正直であって欲しいです。
Q13. 社会人になって一番心に残っている言葉は?
「我以外皆我師也」。自分以外の人からは学ぶべきところがあって、みんなが師匠であるという考えです。驕ることなく、どんな人からでも学ぶ、という姿勢を持っていたいなと。
Q14. 休日の過ごし方は?
何もしないと決めたときは、本当に何もしていません。旅行に行ってもプールサイドでぼんやりしたり、部屋でリラックスしたりしています。
Q15. 好きな国はどこですか?
思い出に残ってるのは、幼少期にホームステイしたオーストラリアとドイツです。
Q16. 仕事の中で一番燃える瞬間は?
逆境のとき。例えば大きな投資契約を断られたときとかは、アドレナリンがドバッと出てきますね。「見てろよ」って。
Q17. 息抜き方法は?
仲間たちとたわいもない話をしながらお酒を飲むとか、自分がオフになっている感覚がある時は一番息抜きできていると感じます。あとはスポーツをしている時で、いま熱中しているのはゴルフですね。
Q18. 好きなサービスやアプリは?
サービスではないのですが、元メルカリの青柳さんが立ち上げたnewmoが気になっています。「あの人たちだったら、モビリティの世界をライドシェアで変えられるのではないか」とワクワクしますね。
Q19. 学んでみたいことは?
語学です。後回しになってしまいがちなので、きちんと学びたいなと。
Q20. 最後に一言
改めて「自分はこういう人間なんだな」と整理できました。ありがとうございます。
飽くなき好奇心が挑戦への一歩となる
—【松嶋】お話をお伺いしていると、新しいことへの挑戦意欲を強くお持ちなのだなと思いました。
—【青木】チャレンジ精神は持っておきたいなと思っていますね。周囲の期待に応えるのもやりがいのあることではありますが、ルーティンをこなすだけになってしまうリスクもあるじゃないですか?そう考えたら、自分の成長が止まるくらいなら崖に立ってでもリスクを取りながら冒険し続けたいなと。
—【松嶋】そんな青木さんが、これからどのようなことに挑戦していこうとされているのか、お話しできる範囲でお教えいただけますか。
—【青木】「Nontitle」のシーズン4を2024年6月より放送します。経験値がたまってきたので、より一層面白いコンテンツにしていくつもりです。
また「Nontitle」だけでなく、ヒットコンテンツをもっとつくっていきたいですね。インフルエンサーの一助になるようなビジネスをしていきたいですし、良いタイミングで大きなことを仕掛けていきたいなと。今年の夏で47歳になるのですが、70歳になっても挑戦を続けていたいと思っています。
—【松嶋】そこまで挑戦したいと思える秘密はなんなのでしょうか。
—【青木】落ち着いてしまうと、社会に置いていかれるのではないかという恐怖があるのかもしれません。もう一人の自分がプロデューサーとして頭のなかにいて、僕を動かしているという感じですね。
あとは、好奇心が強いタイプだというのも関係しているのかなと。日頃から周囲を見渡して何かないかと探すことで、良いタイミングでお声掛けいただくことが増えて、周囲の期待と自分のなかの好奇心が重なって、金庫の鍵が“カチッ”と開くときがあるんです。日頃からその金庫のダイヤルをずっと回し続けることが大切なのかもしれません。言い換えれば、興味の対象を探しつづけることが、挑戦するための一歩でもあるのでしょうね。
—【松嶋】ビジネスにおいて伸び悩んでいる人への大きなヒントになる気がします。最後に、読者へのメッセージをいただけますか。
—【青木】何かに挑戦して失敗しても死ぬわけではありません。僕もたくさん失敗してきましたが、実体験を通して「人はいつでも再スタートできる」と確信を持っています。借金を抱えようが、非難を浴びようが、再起の目は常にある。考えごとの多くは杞憂で終わりますし、軽く一歩を踏み出してみたら「意外といけるじゃん」と思うことの方が多いです。だからこそ、食わず嫌いをせず、あえて苦手なものを食べるという精神でいるのは大切だと思います。意外とおいしいかもしれませんしね。
はみ出すのが怖いのであれば、片足だけでもいい。ジャンプしてみるのもアリかもしれません。自分が思っている“自分の型”からちょっとずつはみ出してみることで、限界を突破できるような気がします。だからと言って無茶をするのではなく、致命傷を負わない範囲で、はみ出してみてはいかがでしょうか。
【クレジット】
取材・構成/松嶋活智 撮影/原哲也 企画/大芝義信
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