「半径5メートルの幸せから、日本中の経営者を救う“ネオ商工会”へ」幾多の挫折を経て、セールスコムズ牧野貴宏が挑む中小企業支援の新たな形
Interviewee
株式会社セールスコムズ 代表取締役
牧野貴宏
大手コンビニチェーンにてSV、店長職を経験後、株式会社セールスコムズ代表取締役に就任。月額1万円から上質な商談獲得や人脈形成が行えるサービスを展開。
月額1万円からという金額で中小零細企業の営業支援を手掛ける株式会社セールスコムズ。その舵取りを担う代表取締役の牧野貴宏氏は、様々な苦難を乗り越え「還元」への揺るぎない信念を胸に、独自のコミュニティビジネスを力強く牽引しています。
営業支援の枠を超え、ITによる合理性と、人の介在が生み出す感動的価値を巧みに融合させた「ハイブリッド型マッチングコミュニティ」へと進化を遂げ、その視線の先には、中小企業が抱えるあらゆる課題に対し、ワンストップで解決策を提示する「ネオ商工会」という、これまでの常識を覆す壮大な構想を描いているのだといいます。
本稿では、波乱万丈とも言える牧野氏の人生航路と、コミュニティの仕組みづくりが秘める無限の可能性に迫ります。

月額1万円からの挑戦。中小零細企業に寄り添うマッチングコミュニティの本質
—【聞き手:岡崎美玖、以下:岡崎】現在どのような事業に取り組んでいらっしゃるのか、改めてご紹介いただけますでしょうか。
—【話し手:牧野貴宏氏、以下:牧野】株式会社セールスコムズ代表取締役の牧野貴宏と申します。弊社では「COB(シーオービー)」というビジネスマッチングと営業代行を融合した課題解決型のマッチングコミュニティを運営しており、主な事業としてはコミュニティに参加されている企業様の営業支援ですが、それだけに留まらずに人材に関する課題やその他経営上の様々な問題に対して、包括的に解決のお手伝いをさせていただくことをミッションとしています。利用価格は月額1万円からで、課題をまるっと解決させていただくことを目指しています。
ー【岡崎】課題解決型のマッチングサービスで月額1万円から利用可能な価格設定は、特に中小零細企業にとって非常に魅力的ですね!どのような背景があるのでしょうか?
ー【牧野】もともと中小零細企業様を支援したいといった強い思いがあったこと、加えて世の中に存在する大手のマッチングサイトや営業代行サービスが高額で、そこでうまくいかずに苦労されている企業様が非常に多い現実を目の当たりにしてきました。そういった方々にとって、少しでもハードルを下げ、再挑戦の機会を提供できないかという思いからこの価格設定に至りました。大手企業のサービスで一度つまずいてしまった企業様の受け皿、あるいはセカンドオピニオン的な存在になれたらと思っています。
月額1万円で利用できるコミュニティサービスは他にも存在するかもしれませんが、弊社の最大の差別化ポイントは、ITを活用した「合理的価値」の提供と、人が介在することによる「感動的価値」の提供、この2つを高いレベルで融合させた「ハイブリッド型マッチングコミュニティ」であるという点です。単に安価であるだけでなく、中身の部分に徹底的にこだわっています。
—【岡崎】「ハイブリッド型」とは、具体的にはどのようなものでしょうか。
ー【牧野】まず「合理的価値」についてですが、企業様が抱える課題、割ける予算、期待する成果など、詳細なデータを収集・分析し、データ化します。
一方で「感動的価値」は、弊社の経験豊富な事務局コンサルタントが、コミュニティに深く、そして血の通った形で関与することによって生まれるものです。
この双方を掛け合わせ、単にシステムが企業同士を繋ぐだけでなく、コンサルタントがそれぞれの企業様の特性やニーズを深く理解した上で、人と人とを直接繋いでいくことで最も効率的かつ効果的なマッチングを実現します。実際に弊社のマッチングをきっかけにあるプロジェクトが動き出して一億円の売上を上げた例もありました。
私たちが目指しているのは、単なる企業間のマッチングではなく「この会社のこの代表は、こんな熱い想いを持っていて、こんな未来を実現したいと考えている。それに対して、こちらの会社の代表は、こんなユニークな技術やノウハウを持っている」といった、それぞれの企業のトップの方々の個性やビジョンを繋ぎ合わせることを何よりも重視しています。そうすることで、単なる受発注の関係を超えた、より深く長期的なパートナーシップが生まれ、時には新しいプロジェクトの立ち上げに繋がったり事業提携や新会社の設立といった形に発展するケースも実際にあります。
例えば、ある企業様がフランチャイズ展開を模索されていた際に、その構想を実現するための専門的なノウハウを持つ別の企業様をマッチングし、結果として新会社を設立するまでのお手伝いをさせていただいたことも、その一例です。これは、まさに「感動的価値」が生み出した成果だと考えています。
ー【岡崎】まさにコンサルティングも兼ね備えた事業創造のパートナーといった側面も強く感じます。
ー【牧野】企業様が抱える課題の根源を、表面的な事象だけでなく、その奥にある構造的な問題や経営者の想いまで含めて深く掘り下げ、そこに対して最適な解決策を提供していく。そのためには、私たち自身がそれぞれの企業様にとっての「最高の理解者」であり「最強の伴走者」でなければならないという覚悟を持ち、日々企業様と向き合っています。

「目の前の困っている人を救いたい」“還元”への思い
ー【岡崎】牧野さんご自身が、このセールスコムズ、そしてこの事業に深くコミットされるようになった経緯について、詳しくお聞かせいただけますか。
ー【牧野】そもそもの始まりは、ご縁でした。セールスコムズは、私が関わる以前は別の社名で、代表の方が不在となり、残された社員の方々が途方に暮れている、といった状況を共通の知人を通じて耳にしたんです。
その話を聞いた時、直感的に「自分に何かできることがあるのではないか」と感じ、関わらせていただくことになりました。
正直なところ、当時会社の内部事情や財務状況など、詳しいことはほとんど何も知らない状態からのスタートでした。まずは社内にどのようなリソースが残っていて、誰がどのような業務を担当していて、そして何よりも、この会社がどこへ向かおうとしていたのかという現状を把握することから始めました。
残された従業員の方々も、リーダー不在の中で大きな不安を抱えていたと思います。その不安を少しでも取り除き、共に未来を描けるような関係性を築くことが、最初の大きな課題でした。
ー【岡崎】そこから代表にまでなられるというのは、相当な覚悟が必要だったのではないでしょうか。
ー【牧野】そうですね。当時、私自身の中で大きなテーマとなっていたのが「還元」というキーワードでした。実はそれより少し前、1年から2年ほどの間、様々な事情が重なり一時的に社会からドロップアウトしていた時期があったのです。その間、本当に多くの方々に金銭的にも精神的にも支えていただき再び社会に復帰することができました。
社会復帰したタイミングで「今度は自分が、お世話になった方々や困っている人たちに対して、できる限りのことを返していく番だ」といった強い思いが芽生えていました。少し気恥ずかしい話ですが、当時は本気で「まずは自分の半径5メートル以内にいる人たちを幸せにしよう」とささやかながらも具体的な目標を立てていました。
ー【岡崎】そのタイミングで、セールスコムズの状況を知った、と。
ー【牧野】ええ。ちょうどそんな想いを抱いていた時に、セールスコムズが抱える困難な状況を知りました。私自身、それまでに個人事業主として営業代行のような仕事も手掛けており、「営業支援といった切り口であれば、自分が入ることで状況を少しでも良い方向に動かせるかもしれない」と感じました。それが、この会社、そしてこの事業に深くコミットする最初の大きなきっかけです。
ー【岡崎】代表に就任されるまではどのような経緯があったのでしょうか。
ー【牧野】最初の4、5ヶ月は業務委託契約で、主に営業面のサポートをさせていただきました。その中で、会社の内部事情やメンバー1人1人の個性、そして何よりもこのマッチングコミュニティという事業が持つ計り知れない可能性を肌で感じるにつれて「これは中途半端な関わり方ではダメだ。自分が全責任を負って、本気でこの会社を立て直さなければならない」といった思いが日増しに強くなっていきました。そして、周囲の方々からの後押しもあり、代表登記に至ったのが大まかな経緯です。
ー【岡崎】セールスコムズに実際に参画されて、当時を振り返ってみるといかがでしたか?
ー【牧野】セールスコムズに参画してからは、特に初期の頃は会社の経営資源が全く足りない時期や、キャッシュフローが極端に悪化し、経営的に非常に厳しい局面が何度もありました。恥ずかしながら、私自身の役員報酬すらまともに払えないような、そんな切羽詰まった状況も経験しました。
そこからなんとか事業を立て直し、黒字化を達成するまでの3、4ヶ月間は、本当に苦しい日々でしたが、同時に本当に多くの方々に、言葉では言い表せないほど温かいご支援をいただきました。金銭的な援助をしてくださった方もいらっしゃいましたし、仕事を発注してくださることで事業継続の道筋をつけてくださった方もいらっしゃいました。時には見かねて食べ物を差し入れてくださる方までいらっしゃって…。
生まれて初めて「人に助けられることの本当のありがたさや温情の尊さ」を、骨身にしみて感じました。
ー【岡崎】多くの方が牧野さんに手を差し伸べられたのは、牧野さんご自身にも何か特別な魅力があったからではないかと感じます。
ー【牧野】このマッチングコミュニティという事業モデルそのものが持つ将来性や社会的な意義を、多くの方々が評価し、期待してくださっていた、といった側面も非常に大きかったと思います。
私個人に対して何か特別な魅力があったかどうかは分かりませんが…ただ一つ、常に心がけてきたのは「一度お借りしたものは、必ず、何らかの形で、期待以上の価値を添えてお返しする」ということです。
そして、それを言葉だけでなく行動で示し続けるということでした。それが少しずつですが周囲の方々からの信頼に繋がり、いざという時に手を差し伸べていただけるような関係性を築く上で、非常に重要だったのではないかと、今振り返ると思います。
私自身、決して器用な人間ではありませんし、いわゆる「投げ銭してもらう」ような愛嬌のあるタイプでもないので(笑)、愚直に誠実さを示すことしかできなかったのが正直なところです。

挫折が生んだ『営業力』への渇望と、再起への道のり
—【岡崎】「社会から離れていた時期」や「多くの方に助けてもらった」ご経験について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか。
ー【牧野】少し昔の話になりますが、私は地元の高校からエスカレーター式で大学の理系学部に進学し、応用分子化学を専攻していました。ただ正直なところ、その分野に対して当時強い興味や明確な目標があったわけではなく、どちらかというと周囲の期待や用意された選択肢の中から消去法で選んだ、といった経緯でした。
当然ながら、大学の授業に対するモチベーションも上がらず、何のためにこんな難しい勉強をしているのかと、意味を見出せないまま日々を過ごし、結果として単位を落とし続けて大学2年生の時に中退という道を選びました。
ー【岡崎】エスカレーター式での進学といった環境から、自らの意思で退学を選んだと。
ー【牧野】はい。ただ当時の選択を後悔しているわけではありませんし、大学に進学させてくれた両親には今でも心から感謝しています。中退した後も、両親は私を見放すことなく、今度は専門学校に通わせてくれました。いわゆる職業訓練校のようなところで、簿記や情報処理、ビジネススキルなど、より実務に直結する知識や技術を幅広く学ぶことができました。今振り返れば、この専門学校での経験が、その後の社会人生活の基礎になったと感じています。
専門学校卒業後、誰もが知る大手コンビニエンスストアの本社に、店長候補として採用されました。実際にいくつかの店舗で店長を経験し、その後は複数の店舗を統括するスーパーバイザーも務めさせていただきました。
ー【岡崎】卒業後は順調にキャリアを積まれていたように見えますが、なぜ退職されることになったのでしょうか。
ー【牧野】いくつかの要因が重なりましたが、最も大きかったのは、会社の方針と自分自身の価値観との間に、埋めがたいギャップを感じるようになったことです。一つは、全国転勤が非常に多く、腰を据えて一つの地域やコミュニティに貢献するということが難しかったこと。もう一つは、本部の意向が非常に強く、各店舗が抱える個別の課題に対して、本質的な解決策を自分の裁量で実行することが困難だったことです。
本部で緻密に組まれたオペレーションを、いかにチェックリスト通りに正確にこなすか、といった点に主眼が置かれており、管理職といっても、現場レベルで何かを抜本的に変革するというよりは、決められたことを徹底する「実行部隊」としての役割を強く求められていました。もちろん、それも組織運営においては重要なことですが、当時の私にとっては少し窮屈に感じて退職を決意して“ニート”のような生活を送っていた時期がありました。
自分自身と深く向き合い、自分が本当に何をやりたいのか、自分には何ができるのか、そして何が足りないのかを徹底的に考えていく中で、自分には「ゼロからイチを生み出す力」、特に「現金化する能力」、つまり“営業力”が決定的に欠けていることを痛感したのです。
そこから「このままではいけない。まずは自分に足りないものを貪欲に吸収し、実践的なスキルを身につけなければ、誰かの役に立つことなんてできない」と強く思うようになりました。本当に多くの方々に助けていただきながら、少しずつ社会との接点を持ち直し、営業の現場に飛び込んだり、様々なビジネスに挑戦したりする中で、今の自分に繋がる経験を積んできました。その過程で受けた数えきれないほどの温かいご恩を、今度は自分が誰かに、そして社会に還元していきたいとの思いが、現在の事業活動における最も大きな原動力となっています。

組織作りにおいて意識したある“3つ”のこと
ー【岡崎】牧野さんはご自身のことを客観的に分析し、課題を特定し、行動に移されてきたように感じます。そういった能力は昔から意識的にあったものなのでしょうか?
ー【牧野】いえいえ、客観視能力なんて今でもものすごく低いと思っています。「いかに自分の周りを、自分よりも優秀な人間で固めるか」に尽きると思っています。
自己分析というよりは、幸いなことに私の周りには常に優秀で、かつ忌憚のない意見を言ってくれる素晴らしい仲間たちがいてくれたんです。彼らから様々な角度でフィードバックをもらい、自分なりに必死で咀嚼して行動に移してきたというのが実情に近いです。
ー【岡崎】組織づくりの点では、どのようなことを意識されてきましたか?
ー【牧野】1つは「明確なビジョンと事業の可能性を、熱意を持って語り続けること」です。私がセールスコムズに参画した当初も、会社は決して順風満帆な状態ではありませんでしたが、このマッチングコミュニティという事業が秘める無限の可能性を、私自身が誰よりも強く信じていましたし、それを周囲の人たちに、諦めずに伝え続ける努力をしました。
そして「自分の弱みや不得意なことを、包み隠さずさらけ出す」ことです。変に虚勢を張ったり、知ったかぶりをしたりするよりも、正直に「ここは自分の力だけでは足りないから、助けてほしい」と伝える方が、結果として多くの人が力を貸してくれるものです。
ー【岡崎】弱みを見せるのは中々勇気がいることですよね。
ー【牧野】私がセールスコムズの代表になったのは27、8歳の頃でしたが、その若さで経験も実績もない人間が、いくら立派なことを言っても誰もついてきてくれないだろうな、と思っていましたから(笑)。だからこそ常に等身大で、正直であることを心がけてきました。
そして最後に「一度した約束は、どんな小さなことであっても必ず守り、それを粘り強く遂行すること」。これに尽きると思います。この3つを実践し続けることで、多くの素晴らしい仲間たちに恵まれてきたように感じています。

KEYPERSONの素顔に迫る20問
Q1.出身地は?
静岡県の伊豆の国市です。 海と山の境目にある自然豊かなところで、伸び伸びと育ちました。
Q2.趣味は?
最近特に力を入れているのは仲間内で始めた遊戯王オフィシャルカードゲームです。小中学校の頃にもしていたのですが、仲間に誘われ再燃して大会にも出場しています。戦略性が高くて奥が深いんですよ(笑)。
Q3.特技は?
特技と言えるほどのものではないかもしれませんが、将棋やチェスのような、全ての情報が盤上で開示されている完全情報ゲームよりも、麻雀やカードゲームの遊戯王のような、相手の手札や思考が隠されている不完全情報ゲームが得意です。
限られた情報の中から相手の戦略を推測し、仮説を立てて、その「当たり」をつけていくプロセスは、日々の経営判断や多くの社長様との面談を通じて、自然と養われた能力なのかもしれません。
Q4.カラオケの十八番は?
ラップ系の曲を歌うことが多いです。BIGBANGの「FANTASTIC BABY」は毎回必ず歌います(笑)。
Q5.よく見るYouTubeは?
「REAL VALUE」「BreakingDown」は知り合いの方が出演していたりとよく見ます。
あと最近は料理動画を見ることが増えました。ここ2年間くらい全く自炊をしていなかったのですが、ふと「文化的な生活を送りたい」と思い立ちまして(笑)。
Q6.座右の銘は?
「宝石のように磨かれてこそ輝く」という言葉です。
私自身、決して最初から才能に恵まれたエリートだったわけではなく、むしろ多くの失敗や挫折を経験し、様々なトラブルや困難に直面して心身をすり減らしながらも、少しずつですが成長してきたと感じています。一見ネガティブにみえる経験も、自分を磨き上げるための砥石のようなものだと捉えて、常に前向きに歩みを止めない姿勢を大事にしています。自分自身へのおまじないのような言葉ですね。
Q7.幸せを感じる瞬間は?
もともと自然豊かな伊豆の田舎で育ったせいか、根っからのんびり屋なので(笑)、例えば朝起きて天気がものすごく良かったとか、お茶を淹れたらお茶柱が立ったとか、そういう本当に些細なことでも、純粋に「ああ、幸せだなあ」と感じます。
最近のちょっとした幸せで言うと、近所で見かける野良猫がいるのですが、かれこれ3年くらいかけてようやく向こうも私を顔見知りとして認知してくれたみたいで(笑)。最近すれ違う時に少しだけ意思疎通ができるようになった気がして、それが密かな幸せです。
Q8.今の仕事以外を選ぶとしたら?
やはり「誰かの困りごとを解決したい」「社会の役に立ちたい」という思いが根底にあるものを手掛けていると思います。
地元の伊豆半島の活性化には非常に強い関心があり、そうなると地方自治体のお仕事や、イベントの企画・運営、地域資源を活かしたマーケティング戦略の立案なども関心があります。
個人的な経験から人材紹介の仕事にも大きなやりがいを感じますし、どんな仕事をするにしても、私はきっと自分で仲間を集めて、新しいコミュニティを立ち上げ、そこで何かを生み出そうとしているような気がします(笑)。
Q9.好きな漫画は?
少年ジャンプ系の作品は特に好んで読んでいます。
以前は「闇金ウシジマくん」のような、少しダークで社会の裏側を描いた作品も好きだったのですが、最近は自分自身の仕事と重なる部分もあって、少しリアルに感じすぎてしまい、ちょっと読むのが辛くなってきました(苦笑)。
Q10.好きなミュージシャンは?
特によく聴くのはサカナクションです。
オフィスで作業している時のBGMも、気づくとサカナクションが流れている、なんてこともよくあります(笑)。
Q11.今一番会いたい人は?
地元の小中学校時代の同級生たちです。当時の私は、どちらかといえばクラスの中でもあまり目立たない、パッとしない男子生徒だったので、今こうして会社の代表として、微力ながらも社会のために汗を流している姿を見せて、ちょっとだけ「どうだ!」とドヤ顔をしてみたい、といった気持ちがあります(笑)。
Q12.どんな人と一緒に仕事をしたいですか?
能力的な面で、「こういうスキルを持っている人が欲しい」といった具体的な条件は、実はありません。それぞれの得意分野を活かして、適材適所で活躍していただける方であれば、どなたでも大歓迎です。
強いて人物像を挙げるとすれば、やはり「いい人」でしょうか。例えば自分自身の意見をしっかりと持ちつつも、相手の意見にも真摯に耳を傾け、お互いの妥協点や最適な解決策を見つけ出すことができるような、建設的な議論ができる人。そして何よりも、自分のことだけでなく常に相手の立場や感情を慮り、他人本位で行動できる人。そういう方々とであれば、どんな困難な状況であっても必ず組織として良い方向に進んでいけると信じています。
Q13.社会人になって一番心に残っている言葉は?
社会復帰して事業を始めるにあたって、最初にお世話になった投資家の方から言われた「バカなんだから変に賢ぶったり、自分を隠したりするな」という言葉です。その一言がきっかけで、自分の弱みや欠点も素直にさらけ出せるようになった気がします。
Q14.休日の過ごし方は?
単純に好きなのと、自分自身の気分を上げるために最近は毎週1本は必ず映画を観ています。話題作からマイナーな作品まで、かなり幅広く観ています。
Q15.日本以外で好きな国は?
ミャンマーです。とにかく現地の人々が驚くほど人懐っこくて、温かいのです。場所にもよると思いますが、行った場所はチップを要求されるどころか純粋な好奇心から、積極的に話しかけてきてくれました。
以前、旅の途中でスマートフォンをなくしてしまったことがあるのですが、その時も現地の村の人たちが自分のことのように心配してくれて、総出で探してくれたことがあって。彼らの根底には「現世で善い行いを積むことで、来世でより良い生を受けられる」といった仏教的な思想が深く根付いているのかもしれませんが、それを抜きにしても、本当に心優しくて温かい人たちばかりで、深く感銘を受けました。
Q16.仕事の中で一番燃える瞬間は?
私たちが掲げるビジョンや、本質的な課題解決に向けたアプローチを発信し、それに対してチームのメンバー1人1人が共感し、それぞれの役割と責任を全うして自律的に動き出してくれた時です。
社内の朝礼や定例会議で、そういったメンバーの成長やコミュニティ全体が有機的に機能して進化していくのを実感できると燃えますね。
Q17.息抜き方法は?
目的もなくただぶらぶらと散歩することです。
近所で見かける猫や、道端の草花など、日常の中の小さな発見を楽しむのが好きなので、散歩中は仕事のことをじっくり考えることもありますが、頭を空っぽにして何も考えないようにすることもあります。
Q18.好きなサービスやアプリは?
プライベートで日常的に愛用しているような、何か特別なアプリは、あまりないかもしれません。
ですが弊社自身がマッチングサービスを提供している立場上、他の様々なマッチングサービス、特に男女のマッチングアプリなどは市場調査や研究の一環としてよく利用したり分析していて、タップルのようなアプリはビジネスモデルとして非常に秀逸だなと感じます。
Q19. 学んでみたいことは?
今後、ぜひ深く学んでみたいと考えているのは、カウンセリングやコーチングといった、人の心理に深く関わる分野です。具体的にそれが心理学なのか、臨床心理学なのか、あるいは別の学問領域になるのかはまだ模索中ですが、日々の業務を通じて企業様が抱える経営上の合理的な課題については、ある程度分析し、理解することができるようになってきたと思っています。
しかしその経営者の方が、心の奥底で本当に何を望んでいるのか、何を恐れているのか、そして何に対して真の情熱を燃やしているのか、といった深層心理の部分は中々分からないことも多いのです。私自身、元々、人の気持ちを繊細に察するのがあまり得意な人間ではないので、そういった相手の心に寄り添うヒアリング能力や、人間心理に対する深い洞察力を身につけることで、より本質的な課題解決に貢献できるようになりたいと考えています。
Q20.最後に一言
経営者にとって本当に大切なのは、自分がすべてをこなすことではなく、優秀な仲間と共に進むことだと思っています。
また起業家は、困ったときには素直に助けを求めることが、結果として事業を前進させる一番の近道になることもあると感じています。どうか一人で抱え込まず、泣き叫んででも助けを求めてください。

「ネオ商工会」構想とは?コミュニティの力で中小企業をエンパワーメントする未来図
ー【岡崎】セールスコムズに参画されてから約4年、事業も大きく成長されてきたかと思います。今後の展開についてはどのようにお考えですか?
ー【牧野】これまで培ってきたコミュニティ運営のノウハウと、そこで生まれた多くの成功事例、そして時には失敗事例から得た教訓を最大限に活かし、このプラットフォームをさらに進化させていきたいと考えています。
イメージとしては「新しい時代の商工会議所」です。中小企業様が直面する課題は営業力強化だけに限らず、優秀な人材の採用や育成、効果的な資金調達、スムーズな事業承継、DXの推進など、内容は多岐にわたります。ですがこれらの複雑に絡み合った課題に対して、ワンストップでかつ本当に企業のためになる本質的な解決策を提示できる機関は、現状日本にはあまり存在していないと思っています。
単なるビジネスマッチングの場に留まらず、参加される企業様が抱えるあらゆる経営課題に対して、より本質的かつ包括的な解決策を提供できる「ネオ商工会」というコンセプトを掲げ、実現に向けて動き出しているところです。
ー【岡崎】なるほど。確かに、これまではそれぞれの課題に対して専門の業者に個別に相談するのが一般的かもしれませんね。
ー【牧野】そうなんです。しかし特にリソースが限られている中小企業様の場合は、そもそも自社が抱える課題の本質を正確に分析し、具体的な解決策や外部への発注要件にまで落とし込むこと自体が非常に難しい、といったケースが少なくありません。その結果、的外れな業者に発注してしまったり、外注したものの期待した成果が全く得られなかったり、といった不幸な事態が後を絶たないのです。我々がいくら月額1万円という低価格で営業支援サービスを提供していても、それだけでは根本的な問題解決に至らないことも、残念ながら少なくありませんでした。
企業様が本気で「現状を打破したい」「次のステージへステップアップしたい」と願っているのであれば、その想いに全力で応えたいです。企業様が今どのフェーズにいて、何を目指していて、そのためには何が必要なのかを共に深く掘り下げ、具体的なロードマップを描き、その実現に向けて伴走していく。時にはマッチングという形で最適なパートナーをご紹介し、時には我々自身が直接的にコンサルティングや実行支援を行う。そういった、より踏み込んだ“オーダーメイドの価値提供”を目指しています。
ー【岡崎】具体的に、どのような企業様に「ネオ商工会」のサービスを利用していただきたいとお考えですか?
ー【牧野】例えば「年商1億円の壁を突破したい」といった明確な成長目標をお持ちの企業様や、「この事業を通じて、こんな社会課題を解決したいんだ」というような、経営者の方の熱い情熱や高い志を持った企業様にご活用いただければ、より良い効果を感じていただけるのではないかと考えています。
現状に満足せず、常に前向きなエネルギーに溢れ、変化を恐れずに挑戦し続ける、そんな企業様と共に、私たちも成長していきたいです。
ー【岡崎】会社の今後の展開について伺いましたが、牧野さんご自身としては、どのような未来を描いていらっしゃいますか?
ー【牧野】私個人のキャリアや人生という観点でお話しさせていただくと、やはり「還元」といったテーマを、より広く、そしてより深く追求していきたいとの想いが根底にあります。今はまだ、事業を通じて多くの方々に支えていただいている立場ですが、将来的には、例えば35歳の一つの節目を迎える頃からは、様々な形で社会や地域、そして次世代に対して恩返しをしていきたいと考えています。
私の生まれ故郷である静岡県の伊豆半島は、過疎化や高齢化が進み、地域経済も厳しい状況にあります。そこに対して、例えば都心部の企業と連携して新たな雇用を創出したり、地元の資源を活かしたイノベーションを起こすお手伝いをしたり、といった形で貢献できないかと構想しています。
もう一つ、これは私の個人的な特性とも関わるのですが、実は私自身、少しアスペルガー症候群の傾向があるのではないかと感じており、過去にはビジネス上のコミュニケーションで少なからず苦労した経験がありました。世の中には、非常に高い能力や才能を持ちながらも、例えば朝どうしても定時に起きられないとか、人とのコミュニケーションが少し苦手だとか、既存の社会システムや組織にうまく適応できずに能力を十分に発揮しきれていない方々が多くいらっしゃるのではないかと思うのです。
そういった、いわば「生きづらさ」を抱える方々のために、彼らが安心して自分らしく働ける場所を提供し、それぞれの個性を強みとして活かしながら自立して生きていくための力を養うお手伝いができれば、と考えています。これもまた、私にとっては「半径5メートル以内を幸せにする」といった活動の、ごく自然な延長線上にある取り組みです。
これまでコミュニティ運営を通じて培ってきた、多様な人々を繋ぎ、それぞれの価値を最大化する知見が、そういった場面でも必ず活かせると思っています。

ー【岡崎】ありがとうございます。最後に、読者に向けてのメッセージをいただけますでしょうか。
ー【牧野】何かに挑戦したり、新しいことを始めたりするのはとても大変なことです。ましてや、それが社会課題の解決や、誰かのためになる挑戦であればなおさら道は険しく、困難なものになると思います。
だからこそそんな困難な道を選び進もうとする皆さんを私は心から応援したいと思っています。そんないばらの道は、志ある仲間と強固なパートナーシップを築き、一丸となって取り組むことが何よりも不可欠です。
コミュニティとビジネスマッチングを通じて、一生付き合えるようなかけがえのないビジネスパートナーに出会い、事業を推進し結果として社会課題の解決に貢献できたとしたら、ビジネスマッチング冥利に尽きます。
【クレジット】
取材・構成・ライティング/岡崎美玖 撮影/原哲也 企画/大芝義信
Company
株式会社セールスコムズ
〒1510053 東京都渋谷区代々木2-23-1 ニューステイトメナー1338号室
ビジネスマッチングコミュニティ運営
営業代行
会員制ビジネスマッチング
「半径5メートルの幸せから、日本中の経営者を救う“ネオ商工会”へ」幾多の挫折を経て、セールスコムズ牧野貴宏が挑む中小企業支援の新たな形