「目標となる人を見つける」「人より働く」─シンプルな法則でビジネスに挑戦し続けるYouTuber兼実業家・ラファエルの人生を紐解く─

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氏名 ラファエル
肩書 YouTuber兼実業家
略歴 YouTuber、実業家。大阪府生まれ。定時制高校を卒業後、自衛隊や営業職などを経てYouTuberに転身。自衛隊で鍛え抜かれた肉体、営業職で培ったトーク力とビジネスセンスを武器に、人気YouTuberとして活躍し、その経験を元に実業家としても活動している。著書に『無一文からのドリーム』(宝島社)がある。

ラファエルといえば、白いマスクとグレーのパーカーが特徴的なYouTuberだ。同氏は、社長たちと対談する「ラファエル倶楽部」やオークション制で年収アップを目指す「年収オークション」など、さまざまなYouTubeチャンネルを手がけるとともに、カレーパン専門店のプロデュースやラーメン店の立ち上げなど、さまざまな事業に挑戦している実業家でもある。

第二世代のYouTuberとしてスター街道を駆け抜け、時には炎上やYouTubeチャンネル削除といったトラブルがありつつも、現在も躍進を続けるラファエル氏。なぜここまで活躍し続けられるのか、その秘密に迫った。

働きづめの生活から自衛隊、そしてたどり着いた営業職

—【聞き手:松嶋、以下:松嶋】自己紹介をお願いします。

—【話し手:ラファエル氏、以下:ラファエル】ラファエルと申します。2014年11月よりYouTubeでの投稿をスタートして、現在はラーメン店「世紀末の小麦祭り」を立ち上げたり、社長をゲストに迎えて対談するYouTubeチャンネル「ラファエル倶楽部」や転職プロジェクト「年収オークション」の総合ディレクターをしたりしています。書籍もいくつか出させていただきました。

最近はYouTuberというよりも実業家として働いている時間の方が長くて、面白さ半分、稼ぎたい気持ち半分でいろいろ挑戦しています。

—【松嶋】YouTuberになる前は、もともと別の仕事をされていたんですよね?

—【ラファエル】はい。YouTuberになる前は営業職で、その前は自衛隊で働いていました。

—【松嶋】珍しい経歴ですよね。最初に自衛隊に入隊しようと思った理由が気になります。

—【ラファエル】特別な思いがあった、とかではないですね。

学生時代は勉強に価値を感じられなくて、真面目に取り組んでいなかったので、成績が悪くて。学校にはちゃんと行っていたんですが、地元で一番偏差値の低い高校に落ちてしまったので、中学卒業後は定時制の学校に通っていました。

定時制って昼間は学校に行かなくていいので、すごく時間があるじゃないですか。いっぱい稼げるなって思って、朝から夜まで働いて、学校で4時間勉強したあと、夜から朝まで働くっていう。パチンコ屋とか飲食店のキャッチとか、いろいろしていました。

だから、アルバイトは頑張っていたんですけど、勉強はあまりしていなかったんですね。で、進路を考える時期になって、地元の先輩や友人が自衛隊に入隊していたのを見て「自衛隊っていいな」と思うようになったんです。自衛隊に入隊できたら公務員になれると。「公務員=将来が安定する」というイメージがありましたし、どうせなら意義のある仕事をしたいなと思い、自衛隊に入隊しました。

—【松嶋】自衛隊では何年働いていたんですか?

—【ラファエル】4年ほどですかね。でも自衛隊に入隊したあと、周囲から「営業職が向いているんじゃないか」って言われ続けたんですよ。「国家公務員向きじゃない」「トークが自衛隊向きじゃない」って。

そこまで言われるなら営業やってみるか、と軽い気持ちで転職しました。年功序列ではなく、フルコミッション営業のような、自分の力が試される場所で勝負したいという気持ちもありましたね。

最短出世を果たしつつ、暇な時間でYouTubeをスタート

—【松嶋】自衛隊から営業職に転職するときは、知り合いにご紹介いただいたとか。

—【ラファエル】そうです。『無一文からのドリーム』という本のプロモーション動画に出てくださった先輩に紹介していただいて転職しました。

その先輩は本当にスーパーマンみたいな人で、良い意味で“営業の化け物”というか。自衛隊の時も尊敬できる先輩がいましたし、そういった“すごい人”が周囲にいるという恵まれた環境にいたことは、僕の人生のターニングポイントだったとも言えるかもしれません。

—【松嶋】周囲の人のいいところを見つけるのも一つのスキルですし、環境に恵まれた背景にはラファエルさんのお人柄も影響しているのだろうと思いました。営業職を実際にしてみて、いかがでしたか?

—【ラファエル】一部上場企業で、ルート営業や飛び込み営業など、最初の3年ほどは基本的なことを勉強して実践する毎日でしたね。そのあとは、会社の歴史上、最速で主任になって、最終的には係長にまで出世しました。

—【松嶋】それはすごいですね!

—【ラファエル】ありがとうございます。ただ、数字が安定して出せるようになると、余裕が出てくるのか飽きてしまって。暇な時間が増えたからか「高級車に乗りたいな」とか願望がたくさん出てきたので、副業することにしたんです。

ネイルサロンやマッサージ店の経営とか、いろんな副業の情報にアンテナを張ってたんですよ。そんな時に、HIKAKINさんが出演されていたYouTubeのCMがたまたま目に入って「なんだこれ?」って。それで、YouTubeについて調べてみたら、会社員が副業でYouTubeをやって月に60~90万円を稼いでいるというニュースを発見して、「これなら自分の方が数字を出せるな」って思ったんです。

当時はトップYouTuberと言える人が2~3人しかいなくて、はじめしゃちょーの登録者数が20万人くらい。いずれ芸能人が入ってきたら淘汰されるだろうという予想はしていましたが、先行者利益を狙える市場だと思いましたし、投資もほぼゼロでスタートできるという点に魅力を感じて、副業でYouTubeをはじめました。

—【松嶋】実際に始めてみて、会社員とのWワークは大変だったのでは?

—【ラファエル】いえ、充実していました。営業職って、数字さえ出しておけば、あとは時間を自由に使えるんですよ。だから、平日の夜に撮影して、仕事の合間に漫画喫茶とかで編集をしていました。1本の動画につき4時間くらいかけていたので、忙しい毎日でしたけど、大変だったという感覚ではなかったですね。

事前投資も必要もなかったので「〇〇までに投資した分を回収したい」みたいな気持ちにもならなかったですし、とにかく楽しくて。

—【松嶋】先行投資もなく、毎月会社から給料が入るので、金銭的に焦ることもないと。

—【ラファエル】そうですね。ただ、僕はバズるまでに1年半かかっているので、YouTuber界隈では遅咲きの方なんです。当時は広告を出稿できる状態ではなかったですし、SNS自体があまり盛り上がっていない時期だったので、認知されるチャンスが少なかったというのもあるのかなと。

だから、今の知識をもった状態で当時に戻ったとしたら、半年くらいでYouTubeを辞める可能性もありますね。半年やって芽が出ないなら、次の事業に挑戦するかも。YouTubeをはじめた頃は知識もなかったですし、YouTube側から届く「再生数が◯万回を突破しました」という通知がモチベーション維持に繋がっていたと思います。

—【松嶋】知識がなかったとはいえ、1年半も続けるのは簡単なことではないですよね。なぜ続けられたのでしょう?

—【ラファエル】当時はフォロワーが10万だったら「すごい!」と言われるような時代だったので、周囲と比べて焦ることがなかったというのもあります。でも、一番大きいのは、バズっていない期間でも「いつか絶対跳ねる時が来る」という確信を持っていたからかもしれません。

そうやってコツコツ動画投稿を続けているうちに、YouTuber同士のコラボや雑誌、取材などが重なった時期があって、そこで一気にバズりましたね。

YouTubeドリームを達成!トラブルを乗り越え、実業家の道へ

—【松嶋】バズった時は、どんな気持ちでした?

—【ラファエル】シンプルにびっくりしました。広告収入が1万円に到達したら初めて給料が振り込まれるシステムで、急にお金が振り込まれるんです。で、いきなり30万になって、翌月に60万、その次は120万…みたいな。そこからどんどん増えていって、バズってからは数ヶ月で預金限度額を超えるような金額が入ってくるようになって。気持ちが追いつかなくて、しばらくはフワフワした気持ちが続いていましたね。

また、そこまでくると本業の方にも影響が出てくるようになっていたので、3年ほどWワークを続けたあとに退職しました。

—【松嶋】退職された時、ラファエルさんの活躍を周囲の方はご存知だったんですか?

—【ラファエル】いえ。まだLINEに登録していない人が珍しくないくらいの時代でしたし、周囲で僕がラファエルだと気づいている人はいなかったと思います。

僕の場合、それが良かったんですよね。顔出ししていないから、周囲にチヤホヤされることがなくて、“裸の王様”にならずに済んだ。

—【松嶋】急にスターになると、環境の変化で精神的なバランスを崩してしまう方もいらっしゃると思いますが、ラファエルさんはそういったことはなかったんですね。

—【ラファエル】はい。周囲の環境って本当に大事だと思います。僕は運が良くて、一般人としてのプライバシーを守りつつ、ラファエルというキャラクターにもなれる。オンオフの切り替えができるのは良かったですね。

—【松嶋】YouTuberとして、さまざまなことがあったと思うのですが、これまでに大変だったことなどはありますか?

—【ラファエル】「しんどい」とか「大変だ」と思うことはあまりないんですけど、アカウントが停止処分になった前後は大変な時期だったと思います。

あの時は、睡眠時間が2時間とかだったかな。マネージャーも1人しかいなくて、ずっと働いていました。朝7時に解散して、次は10時に集合みたいな。ライブ配信もやっていたので、体力的には大変だったなと思います。楽しかったんですけど、今同じことをするのは難しいかもしれません。

あと思いつくのは、VALU騒動ですね。YouTuberが国内で大きく炎上したのは、多分あれが初めてかな。僕たちもフワフワした状態が続いていたし、世間的にもYouTuberの扱い方が定まっていない、立ち位置があいまいな時期だったんです。加えて、僕たちは尖ったグループで潜在的なアンチも多くいたので、さまざまな要素があわさって大炎上につながってしまいました。

—【松嶋】いろいろなことがあったなかで、踏ん張って続けてこれた理由はなんだと思いますか?

—【ラファエル】もともとストレス耐性が強いんですよ。YouTubeを始めたことで、より鍛えられた気がします。

あと、僕ってIQは絶対低いんですけど、EQ(心の知能指数)やPQ(自己表現力指数)は高いと思うんです。きっと小さい時に培われたものだと思うんですけど、勉強ができなくても、生きる上で必要な能力が備わっていたからこそ、アルバイトでも自衛隊でも営業職でも、一定の成績を出すことができたんだと思っていて。そういった自分への信頼感、自己効力感が根底にあるのは大きいかもしれませんね。

—【松嶋】ラファエルさんがトラブルがあってもめげずに新しいことに挑戦できる能力は、もともと持っている素質でもあるんですね。

—【ラファエル】それもありますし、あとはずっと環境に恵まれているんだと思います。恵まれた環境にいることが人生のターニングポイントだったと言いましたが、東京に来てからも環境に恵まれているんです。

出会う人がすごい人ばかりですし、その人たちと一緒に会社を立ち上げたり、事業を教えてもらったり。とんとん拍子で人生が進んでいる感覚ですね。

—【松嶋】いろんな人との出会いがきっかけで、実業家になっていったと。

—【ラファエル】はい。最初はYouTubeの広告や企業案件がメインの報酬だったんですけど、いろんな人の話を聞いて知識が身についてくると、企業案件を自分で生み出した方が早いなと思うようになって。アパレルとかジュエリーとか、そういう会社を作っちゃおうって思うようになりました。

家族との未来を見据え、収入の柱となる事業を模索中

—【松嶋】現在はいろいろな事業をされていますよね。実業家とYouTuberで、1日の稼働時間はどのくらいの比率なんですか?

—【ラファエル】YouTubeに使ってる時間は、撮影も含めて1日2~3時間程度ですかね。それ以外は打ち合わせとか、考える時間が多いです。

投資だけをしている会社もあるんですけど、最初の立ち上げフェーズは僕もガッツリ入るようにしているので、最初の3ヶ月ぐらいはめちゃくちゃ大変なんですよ。新しい会社を年に2~3社作っているので、1年中何かしらの事業の立ち上げに関わっていますね。

—【松嶋】シリアルアントレプレナーみたいな。

—【ラファエル】そんな感じですね。投資だけするのも良いんですけど、それだと暇になっちゃいますし、事業を作っている方が楽しいです。

—【松嶋】YouTubeの収益率が下がったという話も聞きますが、実業家であるラファエルさんにはあまり影響はないのでしょうね。

—【ラファエル】そうですね。僕を含めた第1世代や第2世代のYouTuberって、そもそもの収入がエグすぎたので。ピーク時に比べたら、YouTube全体の収益が1/10程度になっていると聞きますけど、半額になっても一般の会社員の年収と比べて何十倍、何百倍の金額ですからね。

—【松嶋】例えばですけど、6億円が3億円になっても、あまり変わらないですもんね。

—【ラファエル】そうなんですよ。別に仕入れがあるわけでもないし、贅沢をしているわけでもないし。何より僕はYouTubeの収益に依存していないので、全く問題ないです。

あと、マックス15人ぐらいを採用して、彼らに営業してもらっているので、企業案件も割と安定していて。そこまで対策しているYouTuberはあまりいないと思うんですけど、僕はそこら辺も抜かりなくやっていますね。

—【松嶋】なるほど。副業を始める前の願望はもう叶えられているのではないかと思うのですが、今後の目標にしていることはありますか?

—【ラファエル】多少なりとも承認欲求はありますし、一定の生活水準は保ちたいなと。自家用ヘリを買いたいとか、そういう願望はないんですけど、今の生活を保てるように自動で収益が入ってくる仕組みを作りたいなと考えています。

家族もいますし、もしかしたら明日病気になって働けなくなる可能性もありますから。そうなった時に困らないように、月1~2億円程度は自動で入ってくるような仕組みを作るために、柱をいっぱい作っているところですね。そういった仕組みを作るのが目標の一つではあります。

キーワードは「目標となる人」「人より働く」

—【松嶋】ラファエルさんが、YouTuberとして、実業家として、ここまで成果を出されている理由はなんだと思いますか?

—【ラファエル】シンプルに、人より働いていたから、ですね。

言われたことをきちんとするのは、当たり前ですよね。当たり前ってゼロでしかないので、プラスになるように、言われたこと以上のものを返すというのを徹底していました。僕の場合は、3倍は言い過ぎかもしれないですけど、それくらい人より働いていましたから。

自衛隊員のときは、仕事終わってからジムに行って筋トレしていましたしね(笑)。それが終わったら試験勉強をするっていう。他の人が外食したり遊んだりしている間、僕はずっと働いていたんです。人より働くことで稼げるようになる。天才には勝てないかもしれないですけど、努力は気持ち次第で誰でもできるものですから。

—【松嶋】小手先のスキルを磨くよりも、とりあえず動くことが重要だと。

—【ラファエル】「ラファエル倶楽部」で社長たちと対談していると、多くの方が「20代をめっちゃ頑張ってるやつには一生勝てない」って言うんですよ。それは僕も実感していることで、20代で頑張った分の貯金は、その後の人生に大きく響いてくるんです。

これって難しいことだとも思うんですけどね。頑張ったからって、成功する保証はないですから。僕の場合は環境に恵まれていて、スーパーマンのような先輩に出会えたことが人生のターニングポイントでしたけど、全員にそういう出会いがあるとは限りませんしね。

ただ、その先輩の言葉を借りるとするなら「『何をすればいいんですか』って聞く人は多いけど、本気を過ぎたら、やりたいことが山ほど出てくるから、そんなこと聞く必要がなくなる」ってことです。根性論のような話かもしれないですけど、これは真理だと思います。

—【松嶋】行動してみて始めてわかること、やってみないとわからないことも多いですよね。

—【ラファエル】あと、EQやPQを鍛えるのも重要なことだと思います。IQが低くてもEQが高い人の方が生涯年収は高い、ということがわかっているので。一番大切なのはメンタル面を鍛えることと、モチベーションをどれだけ維持できるかっていうことなのかもしれません。

—【松嶋】同じ出来事でも、受け取り方次第で結果が180度変わるってこともありますしね。

—【ラファエル】それで言うと、すごい人たちに囲まれていると、自分と比べて「自分には無理だな」って諦めたり、「自分はなんでできないんだ」と自己嫌悪に陥ったりしてしまう人もいるかもしれませんけど、僕の場合はそれが良い刺激になっているんですよね。

先日、何百億と稼いでいる人たちとの会食があって、ご飯を食べたあとに誰かの家で飲み直そうという話になったんです。そしたら「このあと海外との会議があるから帰るね」って言って帰った先輩がいて、その人は年収が300億円とかだったかな。一代で会社を築いたお金持ちって、派手に遊んでいるイメージが強いかもしれないんですけど、見えないところでめちゃくちゃ働いているんですよね。

そういう人を見ていると、僕も頑張ろうと思えるんです。そうやって頑張っている人の姿を見た時に「そうなんですね。お疲れ様です」で終わる人と「ちょっと駄目だな、自分も頑張ろう」って気合いを入れられる人では、結果は大きく変わるんじゃないでしょうか。

—【松嶋】ありがとうございます。最後に、読者に向けてメッセージをいただけますか。

—【ラファエル】大切なのは、目標となる人を見つけることです。会ったことがない有名人でもいいと思います。目標となる人が見つかったら、その人と同じかそれ以上に働く。これを続けることで、自分が目指す道が見えてくるはずです。

身近なところで探すなら、同じ会社で優秀な成績を出している人に1日のスケジュールを聞いて、同じことをしてみるとか。できることはたくさんあると思いますよ。


【クレジット】
取材・構成/松嶋活智 ライティング/西村友香理 撮影/原哲也 企画/大芝義信

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