パリコレのモデルから起業家へ、個性派CEOが目指す「抱え込まない未来」を創るサービス『trunk』とは?

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氏名 松崎早人
肩書 株式会社トランク 代表取締役
略歴 (株)トランクCEO/ph-one.net代表。16歳の頃、高校中退、上京。日雇い労働で生計を立てつつ、17歳で大検全科目合格。慶應義塾大学経済学部卒業。在学中よりモデルを始め25歳の頃渡欧。コレクションモデルとして世界を周る。現在、WEBを中心に販売促進・広告企画などを担当する。

「ガムシャラに進み続けると、振り返った時に良かったと思える人生になっている」と語る松崎さん。彼は『パリ・コレクション(パリコレ)』出演などの輝かしい経歴を持つメンズ・モデルでした。しかし、そこから30代で起業家への道を進み、現在は自身が興した株式会社トランクの代表取締役を務めるという異色の経歴を持つ人物です。今回のインタビューでは、異色の経歴に根ざした起業家としての志と「クラウドストレージ感覚で荷物を預けられるトランクルーム(宅配収納)」というユニークなサービスについてお話をうかがいました。

松崎さんのご経歴についてお聞かせください。起業家になる前はモデルをされていたなど、異色の経歴をお持ちだとうかがっていますので、ぜひ、そのあたりも詳しくお聞かせください。

はい。多くの社長さんたちとは、ちがった道を歩んできたと思います。突飛な話もありますが(笑)、お付き合いください。

16歳で故郷を飛び出し、モデルになる

まず、生い立ちからお願いします。

僕は福岡県出身です。そこから16歳の時に家出をして、東京へ出て日雇い労働者として働いていました。でも、何か違うなと思って大学への進学を目指し、大検(大学入学資格検定)を受けました。それで、大学生になったのですが、まだ半分世間知らずな子供みたいなものですから、お金に困って厳しい仕事に手を出してこともありまして。あまりにもツラくて、逃げ出すために2階の窓から飛び降りて足に怪我をしたりとか、そういうムチャばかりしていました。

バブル全盛期、メンズモデルとしての活躍

いろいろと苦労がお有りだったのですね。

順風満帆というわけではありませんでした。そんな状況だったのですが、モデルとしてスカウトされまして、そこからトントン拍子に『メンズノンノ』や『チェックメイト』という雑誌やTVコマーシャルなどにも起用していただきました。そこからは、自分でもよくわからないうちに、一気に仕事をいただけるようになりました。自分で言うのもなんですが、まさに時の人になる、という感じでした。

「社長インタビュー」をしていることを忘れてしまうような、サクセスストーリーだと思います(笑)。

確かに、こうしてお話していると自分でも変わった経歴だなと思います(笑)。当時は、自分でも想像していなかったような「ドラマやマンガでみるような生活」が現実になった時期でした。でも、ふと何かまた少しちがうことをやりたいと思い始めまして……。16歳で東京に飛び出してきたときみたいに、ここではない場所で挑戦したいという思いが強くなってきました。

日本での成功を捨て、ヨーロッパへ

それで、日本でのモデルの仕事を辞めてしまわれたのですか?

はい。世界の頂点であるヨーロッパに行ってモデルとして挑戦したいと思い、日本を飛び出しました。英語もしゃべれなかったんですけど、当時は若気の至りで、なんとかなるかなと思ってしまいまして。しかし、当たり前ですけど、コミュニケーションには苦労しました。なにせ現地の言葉も英語もわかりませんから、辞書を開いて単語を指差しながら意思の疎通をはかる、というような感じでした。

アジア人としての苦労を乗り越え、パリコレに出演

モデルの仕事はいかがでしたか?

当時のヨーロッパでは、僕が日本人、というかアジア人であることでないがしろにされることが当然のようにありました。モデルというのは服を売るための媒体です。だからヨーロッパに高級な服を買うアジア人が少なければマーケットのパイが小さいのですから、軽んじられても仕方ない面がありました。

撮影の時に自分が出ていくとカメラマンがシャッターを切ってくれないことがあって、これはなかなかキツかったです。当時はフィルムで撮影していたので、写真1枚1枚の撮影にかかる金額がいまより段違いに高かったんです。当時バブルだった日本とくらべると、ヨーロッパのカメラマンはフィルムを節約しながらシャッターを切っていた印象がありましたね。そんな状況なので、カメラマンは「アジア人のモデルは撮る必要ない」という感じで……ほとんどシャッターを押してもらえないことがありました。

モデルとしては、つらい状況ですね。どうやって乗り越えられたのでしょうか?

やはり、そういう時で僕を助けてくれる方との出会いはあって、そういった方のお世話になりながら、なんとかやってこれたという感じでした。そういう出会いに助けられて、向こうでモデルを続けているうちに、本当にありがたいことですが、パリ・コレのランウェイを歩かせていただくこともできました。

モデルとしての成功を捨て、起業家に

それだけの成功していたにも関わらず、スッパリ辞めて今度は日本へ戻られてしまったそうですが、本当ですか?

えぇ、そうなんです。今度は飛び出すというよりかは、腰を落ち着けようと思って日本に戻ることに決めました。それで、広告とかPRの会社を作って仕事をしていました。

遺品整理をきっかけに、トランクルームに興味をもつ

大胆な方向転換が多いのに毎回成功をつかみ取れるというのはすごいことだと思います。

いろんな方に助けていただきながらなんとかやってこれた、と思っています。そうこうして、日本で10年ほど働いていたら、父が他界しました。それで、遺品の整理をすることになったのですが、そこで「使っていない物が、こんなに有ったんだ」ということに驚きました。でも、遺品というのは、使っていないからと言ってすぐにポイと捨てることができない。そこで、トランクルームを借りて預けることにしました。

その後、3年位して預けた荷物を取り出したのですが、その時もシステムがまったく進化していなかったんです。3年の間変化なし。それを見て、なにか新しいことをやるチャンスがあるんじゃないかと思いはじめました。ちなみに、トランクルーム業界の市場規模そのものは当時年率10%くらいの速度で成長していました。市場は膨らんでいるのに、プレイヤーのやっていることに変化がないなら、そのマーケットは狙い目です。

それで、アメリカやシンガポールなどの状況を見に行ったりして、自分なりに勉強をしつつ、最初は「トランクルームを比較するウェブサービス」というかたちで事業をスタートしました。

起業に苦労は無かった

ファッションモデルから起業家という大胆な転身ですが、苦労などはありましたか?

もちろん、大変なことはたくさんありました。でも、自分と一緒に起業したメンバー(当時4名)の想いが形になっていくのがとにかく楽しかったです。だから、苦労を感じたことはありませんでした。

プレスリリースを確認すると、2016年4月に三菱UFJキャピタル、みずほキャピタルから資金調達、2016年8月にアプリのリリースとなっています。資金調達のタイミングでは、まだプロダクトがない状態だったはずですが、その状態で調達を行うのは難しかったのではないでしょうか?

私自身が資金調達をして事業を起こすのが初めてだったこともありやり方を知らなかったのです。だから、まずやってみる、その後は日々勉強とアップデートの繰り返しで、なんとか達成させたという流れでした。

途中で「え、プロトタイプが要るの!?」って気づく、みたいな状態でしたからね(笑)。何をやっていかたというと「僕ははこういう世界をつくりたい」というパワーポイントを30枚くらい書いて、キャピタリストを回っていました。これもまた、運の良い話ですけれど、4,5社を回った段階で2社からご協力いただける流れになりました。

ユーザーの反応

「トランクルームの比較」からスタートした御社ですが、現在は「ダンボール箱に詰めた荷物を送ると、画像でカタログ化して倉庫で保管。好きな時に箱を送り返してもらうことで荷物が受け取れる」というサービスを月額1箱500円で提供されているのですよね?

はい。預けた物がわからなくならないようにするための仕組みとして始めたんですが、予想外に利用者の方から「使わなくなっていた物をこんなにキレイに見せてくれてありがとう」と言われることが多くあります。

ユーザーはどのような方々ですか?

詳細はお伝えできませんが、半数以上は女性のお客様で35歳から50歳くらいの方が多いようです。ちなみに、新たに「アイテムワープ」という不用品を売ったり、無料であげたりする機能の提供始めていて、こちらもご好評をいただいています。

思い描く未来に「ゴチャゴチャ」は存在しない

今後の展開や展望について教えてください。

直近の話で言うと、この秋から福岡の西鉄グループさんと一緒に落とし物を『trunk(トランク)』を活用して管理する仕組みづくりを行なう予定です。また、まだ確定ではありませんが、日本で不要になった物を海外に届けるために『trunk(トランク)』を使おうという構想もありますね。

もう少し未来の話だと……私には今18歳の娘がいます。たまになんとなく彼女が10年後にどうなっているのかなぁと考えることがあります。そうすると、僕がそこに想像する世界では物が「ゴチャゴチャ」と存在している場所ではないんです。たぶん、全部を自分で抱え込むというよりはいろいろな物をシェアしたりしながら、必要な時に必要なだけ使うスタイルになっているのかな、と思っています。私たちの『trunk(トランク)という』サービスはそういった時代への橋渡し役だと思っています。

なぜ、起業したのか?

最後に、モデルとしての成功を投げうって起業家になった理由を教えてください。

僕がいまこうして生活できているのは、いろいろな所へ飛び出していって夢中で何かをやっている時に助けて下さった方々がいたからです。僕はそろそろ50歳になるのですが、これくらいの年齢になると、お世話になった人に何か恩返しがしたいと本気で思い始めます。でも、当時の僕を助けてくれた人たちへは、いろいろな事情で直接それを届けることはできません。だから、僕が受けた恩を「できるだけ多くの人によろこんでもらうサービスを作る」ことで返していけたらいいなと思っています。

本日は、インタビューにご協力いただきありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

Company
企業 株式会社トランク
所在 東京都新宿区 新宿1丁目29-13 平井ビル4階
URL https://www.trunk-inc.com
サービス概要 trunkは、捨てたくても捨てられないそんなモヤモヤを簡単に解決します。 月額は1ボックス、ワンコインの500円(税別)。 アプリから依頼するだけで専用ボックスがお手元に届きます。 あとは収納するアイテムを詰めて集荷依頼するだけ。
アプリ トランクiOSアプリ
トランクAndroidアプリ



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