ポートレートコラム
東京大学卒ボディメイク専門トレーナー
大道匡彦
Photo/Write : Tetsuya Hara
私の目の前にいる紺のジャケットを着てダンベルを持っている男はボディメイク専門トレーナーの大道匡彦だ。ジャケットとダンベル…一見アンバランスな組み合わせに思えるが彼がやるとどことなく様になる。彼は皆が想像するような筋肉隆々のトレーナーとは毛色が違う、東京大学出身のトレーナーなのである。 彼と会うのは今回で2度目だ。半年ほど前にも彼を撮影している。私たちは挨拶を交わし、段取りの打ち合わせ、撮影準備の後、私はいつも通り「じゃあいきますね」と声をかけファインダーから彼を覗いた…。驚いた。半年前とは別人がいた。全身から迸るエネルギーのようなものを感じた。人はたった半年でここまで見違えるのだ…。 前回、彼は「 自分に自信がなく、すぐに周りと比べてしまう”コンプレックスの塊”だ」と語っていた。東京大学出身という素晴らしい経歴もどこか隠すようにしていた。この半年で彼の身に一体、なにがあったのだろう…?撮影も終盤に差し掛かり、変わることなくカメラのレンズを一点の曇りもなく真っ直ぐに見つめる彼の目をみて私は気がついた。彼はトレーナーとして生きていくことを”覚悟”をしたのだ。筋トレは特定の筋肉に意識を集中させると、筋肉活動が増加すると言われている。それと同じくこれまでの彼とは違い、様々なイメージに囚われることなく”今”に集中しているのだ。集中することでエネルギーを増加させ新しい自分となったのだろう。そういう人間は強い。彼は自身の名前の通り”大きな道”に導かれながら一歩、また一歩と前へ歩んでいくのだろう。次撮影するときはどんな大道匡彦になっているのだろう。楽しみで仕方がない