ポートレートコラム
WEINGROUP CEO
溝口勇児
Photo/Write : Tetsuya Hara
会った瞬間に溝口勇児という人間に惚れた。私はずっと彼のような人間になりたいと思って生きてきた。一度しかないこの人生に全身全霊で向き合いたい。そして社会や周囲の困っている誰かの支えになるために生きたい。そのために写真を撮る。私は46歳だが「情熱を持ち続けることができれば、必ず道は開ける。」インタビュー中の彼の声を聞いているとそう信じるための勇気が湧いてくる。インタビューが終わり、フォトセッションの時間だ。彼はとても背が高く、体躯がいい。私は彼と同じ目線の高さになるために椅子の上に立った。そしてカメラを構え、ファインダーから彼を覗いた。私は、ほんの少しの恐怖を感じた。彼の背後には「死」があった。それは彼の「死」が近づいているということではない。普通は遠ざけたくなるような「人は必ず死ぬ」という事実を自ら意識して生きているのだ。私はシャッターボタンを押した。私に彼の何が撮れるのだろう。シャッターボタンを押した。何が撮れるのだろう。押し続けた。押し続けた。押し続けた。120回ほど連続でシャッターボタンが押されると思わず、彼は笑い出した。「過去一番の笑顔です!」フォトセッションを見守る、彼の会社のスタッフが叫んだ。「溝口さんがこんなに笑った写真が撮れたのは初めてです!」気になってこの文章を書きながら私は「溝口勇児」の画像をGoogleで検索してみた。笑っている写真はあるが、確かにここまで笑っている写真は見当たらなかった。自分で言うのはおこがましいが、とてもいい写真が撮れたと思う。余談だがこの笑顔の写真を本編のインタビュー記事のトップの写真として使おうとしていた。しかし、直前で私が書くこの「フォトグラファーピックアップコラム」の写真として使う事にした。これが正解だ。「人生の成功とはありのままの自分をどれ程までに追求できたかに尽きるのではないか」そう話す彼はずっと歯を食いしばりながら、生きてきた。しかし”今”の彼なら人前で顔が崩れるくらい大笑いしてもいいと私は思う。これから先はこの「ピュア」な笑顔が世界を大きく変えていく。なんだか彼へのラブレターみたいになってしまった。このまま出すのは少し恥ずかしいが、筆を置く。溝口さんありがとう。